さぽろぐ

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2012年11月19日

フユシャクの舞う晩秋

 今頃の季節、車で出かけて帰りが夕刻になることがよくあるのだが、車のライトに道路の上をヒラヒラと舞う薄茶色の蛾が何匹も浮かび上がる。11月ともなると、夕刻の外気温は数度しかない。1、2度のときもあるのだが、そんな寒い中を飛んでいるのはフユシャクという蛾だ。

 フユシャクというのは冬(晩秋から早春)に成虫が発生するシャクガ科のガの総称で、日本では36種が知られている。

 他の虫たちの多くが越冬のために姿を消してしまう季節に、フユシャクは成虫が発生して産卵する。変わっているのは発生時期だけではない。フユシャクの雌はなんと翅がない、あるいは翅が退化していて飛ぶことができないのだ。飛べない雌はフェロモンを出して雄を呼び寄せる(もっとも雌がフェロモンで雄を呼び寄せるのはフユシャクに限ったことではないのだが・・・)。

 雄は車のライトに照らし出されるので頻繁に見ることができるのだが、雌は木の幹などでじっとしていることが多く、その気になって探さないと簡単には見つからない。

 2010年の11月にサホロ岳に登ったとき、登山口で変な虫が地面を歩いていた。白っぽい体に黒い斑点がある、ちょっとおしゃれな虫だったが、実はこの写真を撮ったときは何という昆虫なのかピンとこなかった。





 その後、これはチャバネフユエダシャクの雌であることが分かったのだが、この虫を見てガの成虫だと分かる人はそれほどいないだろう。

 フユシャクの雌は以前見たことがあるのだが、その種は薄茶色をしていて、「翅が退化したガ」だと言われればすぐに納得できる容姿をしていた。ところが、このチャバネフユエダシャクの雌ときたら、ちっとも「翅のないガ」に見えない。フユシャクの中でも変わり者だ。

 本州では真冬でもフユシャクが見られるようだが、日中でも気温がマイナスになる北海道では厳冬期になると見られなくなる。北海道では晩秋の今頃がフユシャクの季節なのだ。

 以下は札幌の方が撮影されたフユシャクの写真。

フユシャクを探す (円山原始林ブログ)
フユシャクを探す(2) (円山原始林ブログ)
フユシャクを探す(3) (円山原始林ブログ)
  


Posted by 松田まゆみ at 10:49Comments(0)昆虫

2012年08月02日

消えゆく光景-空を覆うアキアカネ

 ここ数日、アキアカネがよく目につくようになった。アキアカネとは、いわゆる赤トンボのことだ。今の季節はまだ赤くはなっていないので赤トンボだと思っていない人がいるかもしれない。





 アキアカネは、真夏の暑い時期に高原などに移動することが知られている。私が住んでいるところは十勝地方北部のやや標高の高いところで、真夏でも30度を超える日は非常に少ない(ゼロの年もある)。ここ数日、北海道は各地で30度を超える暑い日が続いている。暑さに弱いアキアカネは、暑い平地を逃れて大雪山系に避暑にやってきたのだろう。

 私には忘れられないアキアカネの思い出がある。それは長野県の霧ケ峰の光景だ。

 私が生まれたのは長野県の上諏訪だ。私の両親は「霧ケ峰は自分の庭」と言うくらい霧ケ峰によく出かけ、隅々まで知りつくしていた。そんなわけで、東京に引っ越した後も夏休みにはしばしば家族で霧ケ峰に行ったものだった。

 私がまだ小学生の頃はビーナスラインなどという自然破壊道路はできておらず、上諏訪から霧ケ峰に行く道はまだ砂利道だった。バスは土埃をあげながら角間新田の集落(山岳小説家の新田次郎の故郷である)を通り抜け、エンジンをふかせながらジグザグの山道をあえぎあえぎ登っていく。霧ケ峰に行くというのはバスに一時間ほど(子どもの頃にはそれ位の時間がかかったように思えた)揺られることであり、子どもの私には遠足気分だった。私はバスの車窓から見る風景が大好きだった。

 どんどん標高が上がるにつれて白樺が現れ、車窓から見える植物の種類は里とは違って高原らしさが漂ってくる。バスの終着である強清水(こわしみず)は、あちこちに高原の花が咲き、下界とは別世界だった。

 強清水からスキー場の斜面を登ったところに「忘れ路の丘」と呼ばれている丘がある。小ぢんまりとしたスキー場があり、昔からグライダーの練習場になっていた。丘の一帯は広大な草原が広がっており(といっても霧ケ峰はどこも広大な草原ばかりだったが)、「霧鐘塔」という鐘がぽつんとたっている。「霧ヶ峰」という名前がつくほど霧の多い高原のため、方向を知らせる目的で建てられたそうだ。今ではこの一帯は柵に囲まれた遊歩道しか歩くことができないが、かつては丘を自由に歩きまわることができた。

 強清水のバス停に降りた途端に迎えてくれるのがアキアカネだった。そして忘れ路の丘のアキアカネの大群は、それはそれは見事だった。とにかく青空をバックに無数のアキアカネが舞っている。大群というより、広々とした草原一面にアキアカネが乱舞しているといったほうがいいだろう。捕虫網を振り回さなくても網の中に勝手に入ってきたし、頭にも服にも止まった。そして帰りのバスの中にも必ず数匹のアキアカネが紛れ込んでいた。だから私にとっては「夏の忘れ路の丘=アキアカネの乱舞する丘」だった。

 アキアカネはどこにでも見られる普通種のトンボで、夏の高原では群れ飛ぶ姿が見られるが、あれほどの空を覆うようなアキアカネを私は知らない。

 霧ケ峰には今でもそれなりの数のアキアカネが避暑にくるのだろう。しかしその数はずっと減ってしまったのではなかろうか。昨今はアキアカネがすっかり減ってしまったと聞く。

 アキアカネは稲刈り後の水田に産卵し、卵で冬を越したあと春に水を張った田んぼで幼虫時代を過ごす。稲作と大きく関わっている種だけに、その減少には人為的な要素が大きく関わっているのだろう。アキアカネの減少については以下のような見解がある。

稲の苗箱処理剤が赤トンボを減らしていた(月刊現代農業)

神戸で激減!最普通種のアキアカネ(神戸のトンボ)

アキアカネの激減について(日本蜻蛉学会 和田茂樹さんより)(身近な水辺の自然探偵団2002)

 稲作の拡大とともに大群をつくるようになった生物とはいえ、あの夏の風物詩である高原の乱舞が過去のものとなってしまったのなら何とも寂しい。

  


Posted by 松田まゆみ at 17:30Comments(2)昆虫

2012年07月22日

夢のようなアカシジミの乱舞

 38年前(1974年)の今ごろ、私は一人で北海道をほっつき歩いていた。大学2年の夏休みがはじまると、のこのこと北海道に探鳥旅行に出かけたのだ。北海道には本州では見ることのできない野鳥がたくさんいる。草原でのびやかに囀るノゴマやシマアオジ、シマセンニュウやマキノセンニュウ・・・。岩礁海岸にはウミガラスやケイマフリ、エトピリカ・・・。そんな野鳥の姿を求めて北海道の旅を計画した。

 北に位置する北海道はさぞかし涼しいのではないかと長袖しか持っていかなかったのだが、予想とは裏腹に空は毎日のように晴れわたり、直射日光がじりじりと照りつける炎天下はまさに灼熱だった。ただし、木陰に入ると乾いた風があっという間に汗を吹き飛ばした。じとじととした本州の暑さとは雲泥の差だ。そんな中を、野鳥を求めて歩き回ったのが懐かしい。

 あれは、豊富温泉に泊まった7月19日のことだ。ユースホステルに着いて宿泊の手続きをしたあと、夕食まで間があったので双眼鏡を持って散歩に出た。いかにもひなびた温泉街で、歩くところはさほどない。

 すぐにゆったりと流れる川にぶつかった。なにげなく川を覗くと、オシドリの夫婦がひっそりと泳いでいる。今は夏なので、雄はあの派手な衣装はまとっていない。雌と同じような黒っぽい羽毛で目の周りだけが白くなっていて、まるでケイマフリのようだ。オシドリといえば樹洞で営巣をする。この近くで繁殖したのだろうか。人の生活圏の近くでオシドリが繁殖しているとは、なんとのどかなところなのだろう。

 川のほとりに佇んで北辺の地のしずかな夕暮れの景色をぼんやり眺めていると、対岸に茂る木々のあたりに何かがチラチラしているのに気がついた。双眼鏡の視野に入ったそれは、橙色をした小さなチョウだった。アカシジミの乱舞ではないか! アカシジミは見たことがなかったが、そのチョウがアカシジミの仲間(アカシジミまたはキタアカシジミ)であることはすぐに分かった。

 だいぶ傾いた日差しの中で、濃い緑の葉(たぶんミズナラだったのだろう)をバックに無数のアカシジミが舞っている。翅の表のオレンジと裏の白っぽい色が交差して、チラチラと輝いている。なんと幻想的な光景なのだろう。まるで夢の中にいるかのようだ。そして、こんな光景が展開されているのに、それを見ているのは私しかいない。私は狐につままれた心地でしばし見とれていた。

 アカシジミの乱舞を見たのは、後にも先にもこの時だけだ。今でもあんな光景は見られるのだろうか。

 ちょうど同じような光景がYouTubeにアップされている。


アカシジミ夕方活動~津軽での大発生


  
  


Posted by 松田まゆみ at 11:24Comments(2)昆虫

2011年09月30日

メノコツチハンミョウという不思議な昆虫


 27日に置戸町にナキウサギの調査に出かけたのだが、そこでメノコツチハンミョウを見かけた。ハンミョウという名前がついているが、いわゆる「ミチオシエ」と言われているハンミョウとは別のグループ(科)だ。

 北海道には4種のツチハンミョウが生息しているが、秋に成虫が出現するのはこのメノコツチハンミョウだけだ。交尾しているペアの近くに2頭の雄がいた。一度に4頭も見たのは初めてだ。フェロモンに誘引されたのだろうか。

 こちらはペア。雄の触角の形態が面白い。




 こちらは雄。




 このツチハンミョウという昆虫は、見た通りの不思議な外観で、翅は退化していてもちろん飛ぶことはできない。そしてハナバチに寄生するという実に変わった生活史を持っている昆虫なのだ。

 メノコツチハンミョウの場合、成虫は秋に出現して交尾し、地中に産卵して死んでしまう。春に生まれた幼虫は花の上によじ登って、そこでハナバチが来るのを待つのだ。ハナバチが来るとその体毛にしがみついてハナバチの体に乗り移る。乗り移ったハナバチが雌であればそのままハナバチの巣に移動することができるのだが、雄の場合は交尾のときに雌のハナバチに乗り移るのだ。そうやってハナバチの巣に運ばれると、ハナバチの卵や蜜・花粉などを食べて成長するという変わった生活史を持っている。

 しかし、花を訪れる昆虫はハナバチばかりではない。むしろハナバチに乗り移れるのは運がいいということになるのだろう。ハナバチ以外の昆虫に乗り移ってしまった場合は成虫になることはできない。うまくハナバチの巣に侵入できる可能性が低いためか、ツチハンミョウの雌は数千個もの卵を産むそうだ。

 成虫まで生き延びられるチャンスは少ないかわり、うまくハナバチの巣に侵入できればあとは楽をして成虫になれるというわけだ。

 メノコというのはアイヌ語で「女性」という意味なのだが、産卵のために大きな腹部を持つ雌が目立つのでこのような和名がつけられたのだろうか?

 ちなみにカンタリジンという毒を持つので注意が必要だ。機敏に動けない昆虫だけに、こうやって身を守っているのだろう。
     


Posted by 松田まゆみ at 10:43Comments(0)昆虫

2011年08月07日

マイマイガの寄生蜂


 「カラマツを食害するマイマイガ」で書いたように、私の居住地周辺では今年もマイマイガの幼虫が大発生した。しかし、それと同時にマイマイガの幼虫に寄生したコマユバチをあちこちで見かけた。こんなのがあちこちにある。




 もっと凄いのはこちら。これだけ大量に寄生されたら、ひとたまりもないだろう。




 だから、蛹になる前に死んでしまった幼虫も多数いるのだ。とはいっても無事に蛹になったマイマイガも多数いる。ところが、その蛹もやはり寄生蜂に狙われているのだ。以下はヒメバチの仲間だと思うが、マイマイガの蛹を物色している。




 マイマイガの蛹もそれを知っているのだろう。巧みに木の葉を綴り合わせて寄生蜂の攻撃を防いでいるものも多い。しかし、寄生蜂も綴り合わせた葉の隙間から何とか蛹に卵を産みつけようとする。下は蛹に産卵する寄生蜂。




 こういう光景を見ると、やはり自然はうまくできていると思う。マイマイガが増えれば寄生蜂が増える。その寄生蜂も寄主が減ればまた減っていくのだ。こうやって大発生は終息に向かう。

 今のところまだマイマイガの成虫は見られない。果たして、これだけの天敵が発生したなかで、成虫はどれくらい発生するのだろうか。
  


Posted by 松田まゆみ at 15:41Comments(2)昆虫

2011年08月06日

枯れたトドマツに集まるシラフヨツボシヒゲナガカミキリ


 我が家の敷地にあったトドマツが大きくなりすぎたため、昨年、全面的に枝払いをして枯死させた。そのトドマツに、夕刻になるとヒゲナガカミキリが集まってくることに気付いた。




 集まってくるのは、天気のよい日の夕方から夜にかけてだ。下から見上げると多いときには20頭くらいのカミキリが確認できる。その大半がペアになっている。はじめはヒゲナガカミキリだと思っていたのだが、よく見るとすべてがシラフヨツボシヒゲナガカミキリだった。ヒゲナガカミキリの場合は胸部の側方に白い斑点があるのだが、シラフヨツボシヒゲナガカミキリではそれがない。

 さて、ペアになっているといっても交尾をしているわけではない。雌は樹皮をかじって傷つけているのだ。雄は雌の体を押さえるようにしている。




 そして、樹皮に傷をつけるとこんどは向きを変えて腹部の先端を傷口に差し込んでいる。産卵しているのだ。産卵の時も、雄は雌の体に脚をかけて押さえている。雄は雌を守っているのだろう。




 トドマツの幹を見ると、あちこちにカミキリがかじって傷つけた跡(産卵痕)が残されている。




 かつて、大雪山国立公園の十勝三股周辺で伐採が盛んに行われていた頃、土場の丸太に多くのカミキリムシが集まるということで、昆虫マニアの間では有名だった。カミキリムシは伐られた丸太を察知して集まってくるのだ。しかし、カミキリムシのもともとの産卵木は伐採木ではなく自然に存在する枯損木だ。我が家のたった1本の枯れたトドマツですら何十匹ものカミキリムシが集まってくる。一体どうして枯れた木を察知するのだろうか。
  


Posted by 松田まゆみ at 06:30Comments(2)昆虫

2011年08月01日

カラマツを食害するマイマイガ


 昨年、「カラマツハラアカハバチの大発生」という記事を書いたが、今年も同じカラマツが食害を受けていた。




 枝先の色の薄い葉が長枝の葉で、色が濃く束生しているのが短枝の葉。食べられているのは短枝の葉だ。カラマツハラアカハバチは、長枝の葉は食べずに短枝の葉を食べる。だからはじめは今年もハバチに食べられたのだろうと思っていた。

 ところがカラマツの下の道路の状況が昨年とは違うことに気がついた。ハバチのような細かい糞ではなく、粒状の糞だ。




 そこで、枝先をよくよく見ると、マイマイガだ。こちらは終齢幼虫。もうじき蛹になるだろう。




 蛹もあちこちについている。




 北海道ではマイマイガが3年ほど前に大発生し、昨年あたりから終息に向かっていたようだが、私の居住地あたりでは今年もかなりマイマイガの幼虫を目にした。シラカンバ、イタヤカエデ、オオバボダイジュなどがかなり食べられたし、樹の枝から糸を引いて下に移動する幼虫もずいぶん目にした。幼虫はこうやって移動するので「ブランコ毛虫」とも言われている。

 そして、木の葉だけではなく草本の葉まで食べてしまう。驚いたことに鉢植えのゼラニウムの葉まで食べられた。あんな匂いのきつい植物でも平気で食べてしまうのだ。

 今年ももうじきマイマイガの成虫が大発生し、家の壁に卵を産みつけられると思うとちょっと気が重い。
  


Posted by 松田まゆみ at 19:00Comments(2)昆虫

2010年09月04日

山の中にまで拡大したハバチによるカラマツの食害

 真夏だというのに、枯れ木のようになっているカラマツの植林地がありますが、たいていはハバチの幼虫による食害です(「カラマツハラアカハバチの大発生」参照)。これまでハバチによる食害は、日高や胆振、石狩地方などに行くとよく見かけたのですが、私の住む道東では気がつきませんでした。

 ところがです。今年は道東でも食害されて葉がほとんどなくなってしまったカラマツをあちこちで見るようになりました。

 こちらは、十勝ダムからの光景ですが、山肌のカラマツ植林地が茶色になっています。




 こちらは大雪山国立公園の十勝三股にあるカラマツ。




 そして、こちらは同じく大雪山国立公園ですが、三国峠のさらに北側です。写真では見にくいのですが、中央付近の茶色っぽく見えるところが食害を受けたカラマツです。とうとうこんな山の中にまでハバチが侵入してしまったようです。




 幼虫の姿を見ていないので、食害したハバチの種名はわかりませんが、カラマツハラアカハバチでしょうか。以前にも書きましたが、カラマツはハバチの食害を受けても普通は枯れることはありません。ちゃんと翌年になれば葉を出します。ところが、これまでハバチの食害を受けたことがない方の中には、枯れてしまったと思い伐採した方もいるとか。

 いままで道東で食害が見られなかったのはどうしてなのでしょうか。今年になって一気に山の中まで広がったというのも不思議です。近年の温暖化などとは関係があるのでしょうか・・・。今後、道東でのハバチの食害がどうなっていくのか注目したいと思います。
  


Posted by 松田まゆみ at 09:30Comments(0)昆虫

2010年09月01日

クスサンが目につく今年の夏

 可憐な蝶は愛好者も多く、美しい昆虫として好まれる存在ですが、同じ仲間でも蛾はなぜか嫌われ者。私も子どもの頃はどうしても蛾が好きになれませんでした。部屋の壁などに同じ姿勢で何日もじっとしている陰気な雰囲気の蛾には、なにらや薄気味の悪さを感じて、手を出そうとは思いませんでした。

 小学生だったある日、親戚の家の庭で虫とりをしていたら、樹の茂みの中から大きなヤママユガが飛び出てきたことがあります。その大きさに興味をそそられ、怖いもの見たさで恐る恐る捕まえたことがあります。とはいっても、やはり蛾は蛾。蝶と同じように標本にしようなどとは考えもせず、ひとしきり観察したあとですぐに逃がした記憶があります。

 毛むくじゃらの太い胴体と羽毛のような触覚、謎めいた模様やひどく地味な色彩、それに翅を厚く覆う鱗粉は、手で触れることをためらわせてしまいます。蛾という昆虫は何とも秘密めいているのです。

 種名を調べようと図鑑を見ても、とても調べる気がしないほど似たような種が並んでいます。おまけに、図鑑の図は蝶のように翅が開いた状態なのに、目の前の蛾はそんなふうに翅を広げているわけではありません。なぜ止まっている状態の図が図鑑に載っていないのかと、いらだちを覚えてしまいます。標本にしようと思っても、ちょっと翅に触っただけで鱗粉が手にまとわりつき、翅の模様がかすれていきます。というわけで、これまで蛾をちゃんと調べて見ようと思ったことはほとんどありませんでした。

 でも、蛾の翅の模様をじっと見ていると、蝶とは比べものにならないくらい複雑で神秘的な模様に驚かされます。不思議なことに、子どものころ抱いた嫌悪感は今ではほとんど消え、むしろ興味深い存在です。

 ところで、今年の夏は大型の蛾であるクスサンがよく目につきます。大型のクスサンは素人でも同定がたやすい蛾です。どうやら、クスサンも例年より多く発生しているようで、少し前にノンネマイマイやマイマイガがへばりついていた街灯には、今はクスサンが翅を広げています。そして、下には鳥の餌食になってしまったとクスサンの翅が・・・。翅の目玉模様は捕食する動物を威嚇するのに役立つといいますが、果たしてどうなのでしょうか?










 一昔前に比べ、蛾も激減したと聞きます。多くの人にとって気味が悪い存在であっても、自然の一員であることには変わりありません。嫌われ者であっても、生態系にとっては重要な位置を占めているはずです。蛾を専門に捕獲するクモもいますし、蛾に交配をしてもらう植物もあります。人知れず消えてしまうことがないようにあって欲しいものです。
  
タグ :クスサン


Posted by 松田まゆみ at 22:12Comments(2)昆虫

2010年08月10日

カラマツハラアカハバチの大発生

 先日の「マイマイガの大発生のゆくえ」という記事に、カラマツの食害の写真を掲載しましたが、このカラマツ、その後さらに食害されていることに気付きました。カラマツの下の道路を見ると、虫の糞で緑色になっています。おびただしい量の糞です。




 カラマツの下にあるフキの葉の上にも、糞がたまっています。マイマイガが成虫になった今の時期にもしきりに食べているのですから、このカラマツを食べたのはマイマイガの仲間ではなさそうです。




 そこで枝を探してみると、犯人がいました。カラマツハラアカハバチです。カラマツを食害するハバチとして、カラマツハラアカハバチやカラマツキハラハバチなどがあります。前者は長枝の葉を残し、単枝の葉を食害するのです。また、幼虫は集団になって枝の先から基部の方へと食べ進んでいきます。ところが後者は逆で、長枝の葉だけを食害するそうです。種によって食べる部位が違うというのは不思議です。




 北海道では、しばしばカラマツが食害されて枯れ木のようになっている光景が見られます。今年もあちこちで被害をうけているカラマツ林を見ましたが、ハバチは頻繁に大発生しています。それでも、食害によって枯れてしまうことはほとんどありません。虫害で絶滅することがないようになっているのですね。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:38Comments(0)昆虫