さぽろぐ

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2011年09月30日

メノコツチハンミョウという不思議な昆虫


 27日に置戸町にナキウサギの調査に出かけたのだが、そこでメノコツチハンミョウを見かけた。ハンミョウという名前がついているが、いわゆる「ミチオシエ」と言われているハンミョウとは別のグループ(科)だ。

 北海道には4種のツチハンミョウが生息しているが、秋に成虫が出現するのはこのメノコツチハンミョウだけだ。交尾しているペアの近くに2頭の雄がいた。一度に4頭も見たのは初めてだ。フェロモンに誘引されたのだろうか。

 こちらはペア。雄の触角の形態が面白い。




 こちらは雄。




 このツチハンミョウという昆虫は、見た通りの不思議な外観で、翅は退化していてもちろん飛ぶことはできない。そしてハナバチに寄生するという実に変わった生活史を持っている昆虫なのだ。

 メノコツチハンミョウの場合、成虫は秋に出現して交尾し、地中に産卵して死んでしまう。春に生まれた幼虫は花の上によじ登って、そこでハナバチが来るのを待つのだ。ハナバチが来るとその体毛にしがみついてハナバチの体に乗り移る。乗り移ったハナバチが雌であればそのままハナバチの巣に移動することができるのだが、雄の場合は交尾のときに雌のハナバチに乗り移るのだ。そうやってハナバチの巣に運ばれると、ハナバチの卵や蜜・花粉などを食べて成長するという変わった生活史を持っている。

 しかし、花を訪れる昆虫はハナバチばかりではない。むしろハナバチに乗り移れるのは運がいいということになるのだろう。ハナバチ以外の昆虫に乗り移ってしまった場合は成虫になることはできない。うまくハナバチの巣に侵入できる可能性が低いためか、ツチハンミョウの雌は数千個もの卵を産むそうだ。

 成虫まで生き延びられるチャンスは少ないかわり、うまくハナバチの巣に侵入できればあとは楽をして成虫になれるというわけだ。

 メノコというのはアイヌ語で「女性」という意味なのだが、産卵のために大きな腹部を持つ雌が目立つのでこのような和名がつけられたのだろうか?

 ちなみにカンタリジンという毒を持つので注意が必要だ。機敏に動けない昆虫だけに、こうやって身を守っているのだろう。
     


Posted by 松田まゆみ at 10:43Comments(0)昆虫

2011年08月07日

マイマイガの寄生蜂


 「カラマツを食害するマイマイガ」で書いたように、私の居住地周辺では今年もマイマイガの幼虫が大発生した。しかし、それと同時にマイマイガの幼虫に寄生したコマユバチをあちこちで見かけた。こんなのがあちこちにある。




 もっと凄いのはこちら。これだけ大量に寄生されたら、ひとたまりもないだろう。




 だから、蛹になる前に死んでしまった幼虫も多数いるのだ。とはいっても無事に蛹になったマイマイガも多数いる。ところが、その蛹もやはり寄生蜂に狙われているのだ。以下はヒメバチの仲間だと思うが、マイマイガの蛹を物色している。




 マイマイガの蛹もそれを知っているのだろう。巧みに木の葉を綴り合わせて寄生蜂の攻撃を防いでいるものも多い。しかし、寄生蜂も綴り合わせた葉の隙間から何とか蛹に卵を産みつけようとする。下は蛹に産卵する寄生蜂。




 こういう光景を見ると、やはり自然はうまくできていると思う。マイマイガが増えれば寄生蜂が増える。その寄生蜂も寄主が減ればまた減っていくのだ。こうやって大発生は終息に向かう。

 今のところまだマイマイガの成虫は見られない。果たして、これだけの天敵が発生したなかで、成虫はどれくらい発生するのだろうか。
  


Posted by 松田まゆみ at 15:41Comments(2)昆虫

2011年08月06日

枯れたトドマツに集まるシラフヨツボシヒゲナガカミキリ


 我が家の敷地にあったトドマツが大きくなりすぎたため、昨年、全面的に枝払いをして枯死させた。そのトドマツに、夕刻になるとヒゲナガカミキリが集まってくることに気付いた。




 集まってくるのは、天気のよい日の夕方から夜にかけてだ。下から見上げると多いときには20頭くらいのカミキリが確認できる。その大半がペアになっている。はじめはヒゲナガカミキリだと思っていたのだが、よく見るとすべてがシラフヨツボシヒゲナガカミキリだった。ヒゲナガカミキリの場合は胸部の側方に白い斑点があるのだが、シラフヨツボシヒゲナガカミキリではそれがない。

 さて、ペアになっているといっても交尾をしているわけではない。雌は樹皮をかじって傷つけているのだ。雄は雌の体を押さえるようにしている。




 そして、樹皮に傷をつけるとこんどは向きを変えて腹部の先端を傷口に差し込んでいる。産卵しているのだ。産卵の時も、雄は雌の体に脚をかけて押さえている。雄は雌を守っているのだろう。




 トドマツの幹を見ると、あちこちにカミキリがかじって傷つけた跡(産卵痕)が残されている。




 かつて、大雪山国立公園の十勝三股周辺で伐採が盛んに行われていた頃、土場の丸太に多くのカミキリムシが集まるということで、昆虫マニアの間では有名だった。カミキリムシは伐られた丸太を察知して集まってくるのだ。しかし、カミキリムシのもともとの産卵木は伐採木ではなく自然に存在する枯損木だ。我が家のたった1本の枯れたトドマツですら何十匹ものカミキリムシが集まってくる。一体どうして枯れた木を察知するのだろうか。
  


Posted by 松田まゆみ at 06:30Comments(2)昆虫

2011年08月01日

カラマツを食害するマイマイガ


 昨年、「カラマツハラアカハバチの大発生」という記事を書いたが、今年も同じカラマツが食害を受けていた。




 枝先の色の薄い葉が長枝の葉で、色が濃く束生しているのが短枝の葉。食べられているのは短枝の葉だ。カラマツハラアカハバチは、長枝の葉は食べずに短枝の葉を食べる。だからはじめは今年もハバチに食べられたのだろうと思っていた。

 ところがカラマツの下の道路の状況が昨年とは違うことに気がついた。ハバチのような細かい糞ではなく、粒状の糞だ。




 そこで、枝先をよくよく見ると、マイマイガだ。こちらは終齢幼虫。もうじき蛹になるだろう。




 蛹もあちこちについている。




 北海道ではマイマイガが3年ほど前に大発生し、昨年あたりから終息に向かっていたようだが、私の居住地あたりでは今年もかなりマイマイガの幼虫を目にした。シラカンバ、イタヤカエデ、オオバボダイジュなどがかなり食べられたし、樹の枝から糸を引いて下に移動する幼虫もずいぶん目にした。幼虫はこうやって移動するので「ブランコ毛虫」とも言われている。

 そして、木の葉だけではなく草本の葉まで食べてしまう。驚いたことに鉢植えのゼラニウムの葉まで食べられた。あんな匂いのきつい植物でも平気で食べてしまうのだ。

 今年ももうじきマイマイガの成虫が大発生し、家の壁に卵を産みつけられると思うとちょっと気が重い。
  


Posted by 松田まゆみ at 19:00Comments(2)昆虫

2010年09月04日

山の中にまで拡大したハバチによるカラマツの食害

 真夏だというのに、枯れ木のようになっているカラマツの植林地がありますが、たいていはハバチの幼虫による食害です(「カラマツハラアカハバチの大発生」参照)。これまでハバチによる食害は、日高や胆振、石狩地方などに行くとよく見かけたのですが、私の住む道東では気がつきませんでした。

 ところがです。今年は道東でも食害されて葉がほとんどなくなってしまったカラマツをあちこちで見るようになりました。

 こちらは、十勝ダムからの光景ですが、山肌のカラマツ植林地が茶色になっています。




 こちらは大雪山国立公園の十勝三股にあるカラマツ。




 そして、こちらは同じく大雪山国立公園ですが、三国峠のさらに北側です。写真では見にくいのですが、中央付近の茶色っぽく見えるところが食害を受けたカラマツです。とうとうこんな山の中にまでハバチが侵入してしまったようです。




 幼虫の姿を見ていないので、食害したハバチの種名はわかりませんが、カラマツハラアカハバチでしょうか。以前にも書きましたが、カラマツはハバチの食害を受けても普通は枯れることはありません。ちゃんと翌年になれば葉を出します。ところが、これまでハバチの食害を受けたことがない方の中には、枯れてしまったと思い伐採した方もいるとか。

 いままで道東で食害が見られなかったのはどうしてなのでしょうか。今年になって一気に山の中まで広がったというのも不思議です。近年の温暖化などとは関係があるのでしょうか・・・。今後、道東でのハバチの食害がどうなっていくのか注目したいと思います。
  


Posted by 松田まゆみ at 09:30Comments(0)昆虫

2010年09月01日

クスサンが目につく今年の夏

 可憐な蝶は愛好者も多く、美しい昆虫として好まれる存在ですが、同じ仲間でも蛾はなぜか嫌われ者。私も子どもの頃はどうしても蛾が好きになれませんでした。部屋の壁などに同じ姿勢で何日もじっとしている陰気な雰囲気の蛾には、なにらや薄気味の悪さを感じて、手を出そうとは思いませんでした。

 小学生だったある日、親戚の家の庭で虫とりをしていたら、樹の茂みの中から大きなヤママユガが飛び出てきたことがあります。その大きさに興味をそそられ、怖いもの見たさで恐る恐る捕まえたことがあります。とはいっても、やはり蛾は蛾。蝶と同じように標本にしようなどとは考えもせず、ひとしきり観察したあとですぐに逃がした記憶があります。

 毛むくじゃらの太い胴体と羽毛のような触覚、謎めいた模様やひどく地味な色彩、それに翅を厚く覆う鱗粉は、手で触れることをためらわせてしまいます。蛾という昆虫は何とも秘密めいているのです。

 種名を調べようと図鑑を見ても、とても調べる気がしないほど似たような種が並んでいます。おまけに、図鑑の図は蝶のように翅が開いた状態なのに、目の前の蛾はそんなふうに翅を広げているわけではありません。なぜ止まっている状態の図が図鑑に載っていないのかと、いらだちを覚えてしまいます。標本にしようと思っても、ちょっと翅に触っただけで鱗粉が手にまとわりつき、翅の模様がかすれていきます。というわけで、これまで蛾をちゃんと調べて見ようと思ったことはほとんどありませんでした。

 でも、蛾の翅の模様をじっと見ていると、蝶とは比べものにならないくらい複雑で神秘的な模様に驚かされます。不思議なことに、子どものころ抱いた嫌悪感は今ではほとんど消え、むしろ興味深い存在です。

 ところで、今年の夏は大型の蛾であるクスサンがよく目につきます。大型のクスサンは素人でも同定がたやすい蛾です。どうやら、クスサンも例年より多く発生しているようで、少し前にノンネマイマイやマイマイガがへばりついていた街灯には、今はクスサンが翅を広げています。そして、下には鳥の餌食になってしまったとクスサンの翅が・・・。翅の目玉模様は捕食する動物を威嚇するのに役立つといいますが、果たしてどうなのでしょうか?










 一昔前に比べ、蛾も激減したと聞きます。多くの人にとって気味が悪い存在であっても、自然の一員であることには変わりありません。嫌われ者であっても、生態系にとっては重要な位置を占めているはずです。蛾を専門に捕獲するクモもいますし、蛾に交配をしてもらう植物もあります。人知れず消えてしまうことがないようにあって欲しいものです。
  
タグ :クスサン


Posted by 松田まゆみ at 22:12Comments(2)昆虫

2010年08月10日

カラマツハラアカハバチの大発生

 先日の「マイマイガの大発生のゆくえ」という記事に、カラマツの食害の写真を掲載しましたが、このカラマツ、その後さらに食害されていることに気付きました。カラマツの下の道路を見ると、虫の糞で緑色になっています。おびただしい量の糞です。




 カラマツの下にあるフキの葉の上にも、糞がたまっています。マイマイガが成虫になった今の時期にもしきりに食べているのですから、このカラマツを食べたのはマイマイガの仲間ではなさそうです。




 そこで枝を探してみると、犯人がいました。カラマツハラアカハバチです。カラマツを食害するハバチとして、カラマツハラアカハバチやカラマツキハラハバチなどがあります。前者は長枝の葉を残し、単枝の葉を食害するのです。また、幼虫は集団になって枝の先から基部の方へと食べ進んでいきます。ところが後者は逆で、長枝の葉だけを食害するそうです。種によって食べる部位が違うというのは不思議です。




 北海道では、しばしばカラマツが食害されて枯れ木のようになっている光景が見られます。今年もあちこちで被害をうけているカラマツ林を見ましたが、ハバチは頻繁に大発生しています。それでも、食害によって枯れてしまうことはほとんどありません。虫害で絶滅することがないようになっているのですね。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:38Comments(0)昆虫

2010年08月04日

マイマイガの大発生のゆくえ

 8月3日の北海道新聞(十勝版)に「マイマイガ 幼虫80~100%死滅」という記事が出ていました。十勝総合振興局森林室がマイマイガ幼虫の死骸確認状況調査を行ったところ、十勝の東部と北部の主な公園などで幼虫の死骸率が80~100%だったそうです。幼虫の大量死の主な原因は、カビの一種の疫病菌とウイルスによる膿病とのこと。

 一昨年あたりからマイマイガが大発生していたのですが、マイマイガの大発生は終息に向かっているようです。

 ところで、十勝北部の我が家の近くでは、街灯の柱にマイマイガの仲間がたくさんついていました。いちばん多いのがノンネマイマイのようで、カシワマイマイも交じっていますし、少数ですがマイマイガもいました。マイマイガが減って、こんどはノンネマイマイが増えてきたようです。とはいっても、ほとんどの葉が食べられてしまった木はないようですので、大被害が発生しているというわけではありません。




 このノンネマイマイというのも、マイマイガと同じようにカンバやカラマツなどいろいろな樹種を食害します。下の写真はノンネマイマイの幼虫に食べられたと思われるカラマツです。枝の先端(長枝)の葉が残っていますが短枝はみごとに食べられています。マイマイガの仲間はこのような食べ方をします。

訂正:下の写真はノンネマイマイではなくカラマツハラアカハバチによる食害であることが後日わかりました。詳しくは「カラマツハラアカハバチの大発生」をお読みください(8月10日追記)




 ところで今年は食害にあっているカシワがとても目につき、ちょっと気になっていました。カシワを食べていたのはカシワマイマイだったのでしょうか?

 来年以降、ノンネマイマイやカシワマイマイの発生がどうなるのか、気になるところです。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:02Comments(2)昆虫

2010年02月08日

オオモンシロチョウの幼虫ダンス

 昨年の秋、新得で有機農業をされている宇井さんから、「オオモンシロチョウの幼虫が音に反応するんだけど、どうしてか分かりますか?」と聞かれました。オオモンシロチョウは大陸から日本に入ってきたチョウで、幼虫は集団で作物を食い荒らします。無農薬栽培をしている農家にとってはなかなかの厄介者。

 チョウの幼虫が音楽にあわせてダンスをするなどという話は初めて聞きましたので、とても不思議に思ったのですが、宇井さんがその動画をYOU TUBEにアップされたので、紹介します。ウクレレの音に合わせ、頭をピョコピョコと上げて踊りますよ~。



 なぜ音に反応するのか、どなたかご存知でしたら是非教えてください。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:50Comments(0)昆虫

2009年09月08日

オオモンシロチョウと天敵

 庭の大根の葉がオオモンシロチョウの幼虫に食べられて虫食いになり、さらにトウがたってきました。すると蕾がエゾシカに食べられて・・・。なんだかちょっと悲惨な家庭菜園になってきました。今の時期でもエゾシカが庭にやってきて、庭やプランターの植物を食べてしまいます。幸いなことに、サラダ菜とミニトマトは食べられていませんが、今年はインパチェンスが壊滅状態。エゾシカの味覚って、どうなっているのでしょうか? 写真は大根についたオオモンシロチョウの幼虫です。




 以前、大根を育てた時にも虫食いになりました。ほんの2日ほど留守にしていたら、芯の部分を残してきれいに葉っぱがなくなっていたのです。よく見ると、オオモンシロチョウの幼虫がうじゃうじゃ。オオモンシロチョウは一箇所に多数の卵を産むために、幼虫も集団発生し、食草もみるまに丸坊主になるのです。

 このときはちょうどハクセキレイの雛が保護されて持ち込まれていたので、餌と害虫退治の一石二鳥というわけで、オオモンシロチョウの幼虫を雛に与えました。はじめのうちこそ食べていたのですが間もなく嫌がって食べなくなり・・・仕方がないので幼虫は手作業で取り除きました。オオモンシロの幼虫は野鳥にはおいしくないのか、あるいは毒でもあるのでしょうか。幼虫には黒い斑点があり、モンシロチョウの幼虫のように緑色の隠蔽色ではありません。この目立つ体色は、野鳥などの捕食者に対して「まずいよ!」と警告しているのかもしれません。

 ところが、今回は忙しかったのでそのまま放っておいたのですが、丸坊主になりません。よく見ると茎に死んだ幼虫がついています。ということは、多くの幼虫が寄生をうけたか、あるいは病気などによって死んでしまったのでしょう。野鳥に捕食されにくいのなら、寄生動物や病気などで個体数が調節されない限り大発生しますから、キャベツや大根などでは大きな被害を受けることになるでしょう。

 オオモンシロチョウはもともと日本に生息していなかった蝶ですが、沿海州から海を渡って北海道に侵入したといわれています。そういえば、2001年にサハリンに行ったときもこの蝶を見ました。人里離れた大雪山の愛山溪温泉でも見たことがあり、北海道ではすっかり定着してしまいました。しかし農業被害についてはあまり聞きません。天敵がうまく働いているのならいいのですが、農薬で防除しているのでしょうか。農業被害や農薬使用の実態が気になります。

 写真家の宮崎学氏がオオモンシロチョウの大発生について書いていますが、北海道からどんどん南下しているようです。

オオモンシロチョウという蝶に負けた人間


  


Posted by 松田まゆみ at 11:15Comments(0)昆虫