さぽろぐ

  日記・一般  |  その他北海道

ログインヘルプ


2019年05月29日

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(1)

 今年も新緑の季節が巡ってきた。そして新葉がハラハラと舞う季節になった。

 5月22日付の北海道新聞夕刊「科学」のコーナーに、北海道博物館の堀茂久さんによる「葉の落下傘で地上へ」という記事が掲載されていた。ウラキンシジミという蝶の幼虫が、アオダモの小葉を食いちぎって地上に落下し、その葉を食べて葉の下で蛹になるという話だ。

 私はウラキンシジミのことは知らなかったのだが、昨年の新緑の季節にこれと同じことをする蛾に気づいた。

 昨年の5月下旬、みずみずしい新葉が開いたばかりのイタヤカエデから、青々とした新葉がハラハラと何枚も落ちてくる光景に出会った。開葉したばかりだというのに、なぜこんなに葉が落ちてくるのだろうか? 疑問に思い落ちてきた葉を拾って良くみると、どの葉にも蛾の幼虫らしき小さな幼虫がついている。どうやら新葉の葉柄を噛み切って落としているらしい。この小さな幼虫は、地面に落下してから葉脈に沿って葉を綴り、体を隠してしまう。





 はて、何の幼虫だろう? こんなに沢山落ちているのだから、きっと「イタヤカエデ 蛾 幼虫」でネット検索でもすれば種名が分かるだろうと思ったのだが、検索してもそれらしき昆虫は出てこない。気になったので、知人の蛾の研究者に連絡をするとさっそく見に来られた。ミクロレピ(小蛾類)の幼虫だというが、飼育しないと種名は分からないという。そこで、5月30日に幼虫のついた葉を拾い、飼育してみることにした。

 この幼虫はイタヤカエデの葉をつづって中に潜みながら、葉を食べていく。蛾の幼虫の飼育はしたことがなく、拾った葉が乾燥して死んでしまう幼虫がいたので途中から水分を補うようにしたら、今度は葉にカビが生えたりと、慣れないことをやるとなかなか上手くいかない。容器を洗って新しい葉を入れたり、新たに幼虫のついた葉を拾ってくるなど、ちょっと手間取った。ハチに寄生されている幼虫も何頭かいたが、残った幼虫は次第に大きくなって6月19日に繭をつくった。繭は葉を楕円形に齧り、それを二つ折りにした中に作る。



 こちらは容器と葉の間に作った繭。


 6月24日に蛹化。繭をつくってから4、5日ほどで蛹化するようだ。



 そして7月13日になってようやく成虫が出てきた。





 もちろん私には種名が分からない。蛾はとても種類が多いうえ、ミクロレピと言われる小蛾類の分類はとても難しい。ミクロレピが専門ではない知人も分からないとのことでミクロレピの専門の方に成虫をお送りし、ミドリモンヒメハマキと教えていただいた。

 飼育してみて分かったのだが、幼虫が必要な餌の葉は噛み切った葉1枚で足りるようだ。ウラキンシジミ同様、新葉を噛み切って落下傘にして地上に降り立ち、その一枚の葉で育ち繭もそこに作る。小さい蛾だからこそこんな芸当ができるのだろう。

 さて、この蛾の幼虫はなぜ葉を噛み切って落としてしまうのだろう? 樹上で葉を食べて蛹化しても良さそうなものだが、そうせずに餌の葉ごと落下するのは何か理由があるに違いない。

 知人によれば、蛾の幼虫がまだ有毒物質を蓄えていない新葉を食べるために葉を切り落とすのではないかとのことだった。十分ありえることだと思う。これは私見だが、樹上よりも地面に落ちてしまったほうが野鳥などに見つかりにくくなるということもあるかもしれない。

 ウラキンシジミと同様にこの蛾も樹木の葉を餌としながら地上で蛹化し羽化することを選択したということだが、実はその後、このような生態を持つ蛾をほかにも見つけることになった。(続く)

新葉を噛み切る小蛾類の不思議(2)

  


Posted by 松田まゆみ at 21:30Comments(0)昆虫

2018年07月31日

スズメバチ駆除

 私の住んでいるところはスズメバチが比較的多いが、今年は二階のベランダの下に巣をつくってしまった。野生の生物はあまり駆除などしたくないのだが、ここは通路の下なので仕方なく退治することにした。





 いつもならまだ女王蜂しか出入りしていない小さい段階で巣を見つけるのだけれど、すでに時遅しで働き蜂がたくさん出入りしている。こんなに大きくなるまで全く気がつかなかったとは自分でも呆れてしまうが、人は歩くときに上なんて全く気にしていないということなのだろう。

 夜になってからレインウェアー上下、ネット付き帽子、長靴、ゴム手袋で完全装備をした上で巣の入口に殺虫剤を吹き付け、全体にも散布した上でポリ袋に入れ、念のために踏みつぶして駆除終了。蜂が出てきて攻撃されることもなく終わった。

 このスズメバチは小型で腹部に細い黄色の縞がある。スズメバチはいろいろな種類があって同定が難しいのだが、シダクロスズメバチではないかと思われる。シダクロはスズメバチの中でも比較的おとなしく攻撃性が強くないので、頭の上を飛び交っていても気づかなかったのだろう。





 蜂ではないけれど、庭でスナップエンドウを収穫していたらゴマフアブに襲われた。吸血性のアブで、刺されると痛い。ブユやらアブやら、今年は吸血性の昆虫が多い気がする。このゴマフアブ、よく見ると翅はきれいなすかし模様が入っている。昆虫の模様はとても繊細で美しいものが多い。




  

Posted by 松田まゆみ at 15:01Comments(0)昆虫

2018年07月01日

蚊より厄介なブユとヌカカ

 このところ虫刺されによるかゆみに悩まされている。とりわけ夜になるとかゆみが増す。いつ刺されたのか分からないのだが、脚に20カ所近く、腕や上半身にも点々と刺された痕がある。

 その犯人が昨日判明した。いつもは庭の草取りは長袖、長ズボン、長靴のいでたちなのだけれど、昨日はとても暑かったのでつい半袖で草取りをしていたらブユが腕に寄ってきた。その後、家の中で脚を刺そうとしていたブユも捕まえた。10日ほど前からのかゆみはどうやらブユだったようだが、家の中にまで入ってこられると悲劇だ。

 ブユは刺されるときにほとんど痛みがない。しかも刺されてすぐかゆくなるわけではなく、しばらくしてから紅くなってかゆみが出てくる。刺されたことが分かっていたらインセクトポイズンリムーバーなどを使うと効果的なのだろうけれど、それがまずできない。気がついたときは刺されてからだいぶ時間が経っている。

 仕方がないのでステロイド入りのかゆみ止めを塗るのだが、薬を縫っても数日間はかゆみがとれない。ただし、塗らないでいると悲惨なことになる場合もある。以前、たかが虫刺されだからそのうち治るだろうと放っておいたらいつまで経ってもかゆみがとれず、掻きこわして数カ月も傷口が治らず酷い目にあったことがある。

 東京に住んでいた頃は、虫刺されといえば蚊だった。ところが北海道では蚊よりもブユやヌカカの方が大敵だ。

 ヌカカはブユよりも小さく、網戸の目もすり抜けてしまう。だから暗くなって明かりをつけたら窓は閉めるようにしている。夜の涼しい外気を入れて室温を下げたいときは、部屋の戸を閉め切り明りをつけずに窓を開けておくようにしている。これでヌカカの侵入はだいぶ防げる。

 ブユやヌカカが厄介なのは、刺されても気がつかないことが多く1週間くらいはかゆみがひかない点だ。しかも私の住んでいるところは蚊に刺されるよりブユに刺されることの方が多い。すぐ近くに川が流れていることも関係しているのだろう。特に夕方などに庭の草取りをしていると刺されやすい。

 北海道ではかつて山奥で造材作業を行っていたが、作業をしている人たちは大量のブユ、ヌカカ、蚊に襲われたそうだ。考えただけでもぞっとする。今は虫刺されに効果のある薬もいろいろあるが、昔はさぞかし大変だったことだろう。

 北海道は夏が短いとはいえ、雑草の伸びるスピードは凄まじい。6月から9月までは頻繁な草取りが欠かせないので、完全防備スタイルでやるしかない。
  

Posted by 松田まゆみ at 14:53Comments(0)昆虫

2015年09月08日

狩り蜂に麻酔されたクモの行方

 机の上にヤチグモ(たぶんアキタヤチグモ)の幼体の入った管ビンがある。このクモは、7月31日に狩り蜂に狩られたものだ。

 わが家の庭ではときどき狩り蜂がクモを狩るのを目撃する。この日は、狩ったクモを抱えたハチが家の壁(サイディング)の下端のあたりをウロウロしていた。ところが、私が写真を撮ろうと近づいたところ、ハチはクモを落としてしまった。

 下の写真はクモを狩ったハチ。一度獲物を落としてしまうと、なかなか見つけられないようだ。


 こちらは狩られたクモ。麻酔でぐったりしていて動かない。


 で、ハチには申し訳ないが、運がよければクモは生き返るかもしれないと思い、クモを持ち帰って管ビンに入れておいた。はじめのうちはちょこちょことビンを覗いていたが、クモは麻酔された状態で、ビンを軽く振っても全く動かない。しかし、干からびる様子もない。ただ、脚は伸びた状態から次第に関節を曲げた状態になっていった。その後、8月18日から10日ほど本州に出かけてしまったが、帰ってきてから管ビンを覗くと、同じような状態のままだった。

 しばらくそのまま放っておいたのだが、もう生き返りそうにないし、そろそろ自然に帰しておこうかと思い、手のひらの上にクモを取り出した。その途端、クモの第1脚がピクピクと動いたのだ。「あれっ、生きている!」と、目をしばたいた。そして、もう一度手の上でクモを転がしてみた。すると、こんどは第1脚のみならず、他の脚もピクピクと動くではないか。麻酔されてからの日にちを数えてみると、39日目である。下の写真は、机の上に出したヤチグモ。


 以前、同じように狩り蜂に麻酔されたオニグモを持ちかえって様子を見たことがある(詳しくはこちらの記事を参照いただきたい)が、その時は3日ほどで動かなくなり11日ほどで生気がなくなってきたのでアルコール標本にしてしまった。そんなことがあったので、このヤチグモの場合、1カ月以上も経ってから動いたことにちょっと驚いた。

 クモの生命力もさることながら、こんなに長期間、仮死状態にさせておける麻酔薬を進化させたハチもたいしたものだ。

 さて、このヤチグモはこのあとどうなるのだろう? 死んでしまうのか、生き返るのか、後日結果をお知らせしたいと思う。
  


Posted by 松田まゆみ at 17:29Comments(6)昆虫

2015年06月18日

ナミスジフユナミシャクの大発生

 6月の初旬頃だったと思うが、道路脇のヤマモミジの並木の中に葉がほとんどついていない木があるのが目についた。どうも虫による食害らしい。何年か前にマイマイガが大発生して丸坊主にされた木があったが、マイマイガではなさそうだ。

 そういえば、わが家の庭のイタヤカエデに緑色の尺取り虫がついていたが、丸坊主にした犯人はあれと同じだろうかとふと頭をよぎった。

 今月中旬のこと、道北に向かう道中でダケカンバもかなり食害にあっていることに気がついた。




 中には8割から9割くらいの葉を食べられてしまっている木もあり、注意をしていれば遠目にもよく分かる。ダケカンバだけではなくナナカマドも食べられている。食害されている木に近寄ってよく見ると、やはりイタヤカエデを食べていたのと同じ尺取り虫だ。小さな幼虫なのに高木を丸坊主にしてしまうくらい葉を食べるのだから、大発生しているのだろう。




 これほどの食害をするのは何の幼虫なのかと調べてみると、ナミスジフユナミシャクというフユシャクの一種らしい。フユシャクというのは他の昆虫がほとんど見られなくなる初冬に成虫が出現するシャクガの仲間で、雌は翅が退化していて飛べない。初冬の夜に車で外出したときに、ヒラヒラと薄茶色の蛾がライトに映し出されることがしばしばあるが、あれがフユシャクの雄だ。

 以下のブログによると、どうやら北海道では昨年からフユシャク類の密度が高かったらしい。

フユシャク類の"大発生" (原 拓史blog)

 ナミスジフユナミシャクもマイマイガと同様にいろいろな木を食害するようだが、特に被害が酷いのはダケカンバのようで、シラカンバはほとんど食べられていない。今年の初冬はフユシャクの成虫も例年より多いだろう。成虫は以下を参照していただきたい。

ナミスジフユナミシャク(こんちゅう探偵団)
  


Posted by 松田まゆみ at 11:49Comments(2)昆虫

2013年09月18日

ゴミを背負うクサカゲロウの幼虫

 植物の上で小さなゴミの塊が動くのを見て「あれっ?何だろう」と思ったことのある人は少なくないのではなかろうか。

 そのゴミに目を凝らすと、虫がゴミを背負っているのが分かる。私は、この「動くゴミ」を学生の頃からしばしば目にしてきた。そこでチョウマニアの一人に「ゴミを背負っている虫がいるけど、あれは何?」と聞いたことがあるが、「知らん・・・」という返事だった。

 その後も、何度もこの虫にお目にかかったが、結局その虫が何か分からないままだった。しかし、先日、散歩に出て2回も続けてこの虫を見た。

 下の写真は、ゴミの下から腹部の先端が覗いている。





 こちらは横から見たもの。左が頭で右が腹部。





 今はインターネットという便利なものがある。そこで、ようやく思い立って「ゴミ 背負う 虫」と検索したら、すぐに出てきた。やはり、不思議に思ってこのような検索をする人がそれなりにいるようだ。

 その正体は、クサカゲロウの幼虫だった。クサカゲロウといえば、薄緑の弱弱しい虫で、子どもの頃よく捕まえたものだ。クサカゲロウは細い糸の先に白い小さな卵を産みつけるのだが、これが葉の裏などにいくつも並んでついている。「優曇華の花」と言われるこの卵は家の中の電燈の笠などにも産みつけられることがある。なんでわざわざ糸の先に卵を付けるのだろうと、子どもの頃から不思議に思っていたものだ。

 これで、クサカゲロウの卵(優曇華の花)→幼虫(ゴミを背負った虫)→成虫(薄緑の弱弱しい虫)が繋がり、積年の疑問が解けた。とはいっても、幼虫と成虫の間に蛹があり、これは見たことがない。

 クサカゲロウといってもいくつも種類があり、すべてのクサカゲロウの幼虫がゴミを背負うわけではないそうだ。クサカゲロウの幼虫はアブラムシやカイガラムシを食べるのだが、一部の種の幼虫はその食べカスを背中にくっつけるという。だから、ゴミが歩いているかのように見える。

 何十年ものあいだ分からないままになっていたことが、1分もかからずに調べられるインターネットは確かに便利だし驚異的だ。しかし、こうも簡単に分かってしまうと、あまりにあっけない気もする。人は疑問に思うことを頭の片隅にしまっておくものだ。そして、ちょっとしたことでその謎が解けたときの快感は格別なものがある。たとえ自分で観察して知ったということではなく、たまたま読んだ本に書いてあったとか、人から教えてもらったということでもいい。今まで分からないでいたことが分かるというのは心躍る楽しさがある。

 しかし、インターネットで何でも簡単に調べることができてしまうというのはどんなものだろう。人知れず疑問を胸に秘めておいたり、何らかのきっかけに密かに謎を知る楽しみが減ってしまう気がしてならない。便利の陰で、失われてしまうものもある。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:28Comments(0)昆虫

2013年09月11日

マルハナバチを襲うケブカスズメバチ

 庭のペパーミントにチョウがたくさん吸蜜にくることはこちらに書いたが、チョウ以外にもマルハナバチやアブなど、いろいろな昆虫が吸蜜にくる。中でも目につくのはエゾオオマルハナバチだ。しきりに蜜を集めている。





 昨日はケブカスズメバチ(キイロスズメバチ)もやってきた。ケブカも蜜を吸いにきたのか?と思ったら、どうやらそうではない。しばらく飛び回ってから、いきなりマルハナバチに襲いかかった。





 5分後にはもうこんな感じ。





 8分後にはほとんど食べつくしてしまった。





 いつもなら攻撃性の強いケブカスズメバチにはあまり近寄りたくはないのだが、お食事に夢中のときだけは近寄って写真が撮れる。

 今日、ペパーミントの花を見ていると、またケブカスズメバチがやってきた。花には目もくれずに、吸蜜しているチョウやマルハナバチに襲いかかっていくのだが、チョウはさっと飛んで逃げてしまう。マルハナバチへのアタックも2回見たが、成功しなかった。ケブカスズメバチの狩りも、そう簡単ではなさそうだ。

 本州に産するものはキイロスズメバチという亜種なのだが、キイロスズメはニホンミツバチの巣に近づいて働き蜂を襲うことがある。このため、ニホンミツバチは集団(蜂球)になってキイロスズメバチを取り囲み、熱で殺してしまうことが知られている。天敵に一方的にやられるのではなく、防衛行動も進化させてきたのだ。もともと日本には生息していないセイヨウミツバチは、このような防衛をできないそうだ。詳しくは以下参照。

スズメバチを熱殺するニホンミツバチ(あきた昆虫博物館)

 以下はその動画。



  
  


Posted by 松田まゆみ at 21:41Comments(0)昆虫

2013年08月31日

ペパーミントに集まるチョウ

 昨年種を播いたペパーミントが今年は一斉に花をつけたのだが、チョウをはじめとした昆虫がたくさん集まってきた。植物の花には昆虫がとてもよく集まるものと、それほどでもないものがある。そういえばラベンダーにはシロチョウがたくさん吸蜜にやってくる。独特の香りが昆虫を誘引するのだろうか。

 そこで、ペパーミントにやってきたチョウを紹介したい。




 まるでクジャクの羽を連想させる魅惑的な紋様のクジャクチョウ。子どものころ霧ヶ峰でこのチョウを見て、こんな美しいチョウがいるのかと心が震えた。タテハチョウの仲間は樹液を好む種が多いが、クジャクチョウは花によくやってくる。北海道では平地でも見られるが、本州だと高原に行かないと見られない。東京に住んでいた子どもの頃、時々でかけた信州の霧ヶ峰はクジャクチョウやヒョウモンチョウの宝庫で、高原の花に集まる華やかなチョウは飛ぶ宝石のように思えた。




 オレンジ色に黒い斑点を持つヒョウモンチョウは、一見どれもよく似ている。翅の表側だけでは識別が困難だが、裏側はけっこう違いがある。ペパーミントで見られたのは3種。上の写真はウラギンヒョウモンの表側。




 こちらはウラギンヒョウモンの裏側。その名の通り、裏側には銀白色の斑点がある。




 上はオオウラギンスジヒョウモン。




 こちらはミドリヒョウモン。後翅の裏側がやや緑色を帯びていることから「ミドリ」とつけられたようだ。




 シロチョウで多いのがエゾスジグロシロチョウ。翅脈の周辺の鱗粉が黒い。食草はコンロンソウやタネツケバナなど野生のアブラナ科植物。




 こちらはおなじみのモンシロチョウ。食草はキャベツやダイコンなど栽培種のアブラナ科植物。




 そして、愛らしいベニシジミ。




 こちらは地味なオオチャバネセセリ。

 私が学生の頃、チョウマニアの方たちはチョウが減っているとよく言っていた。あれから40年ほどが経った今、さらに減少したのではなかろうか。野生生物の減少の多くは人間による環境の悪化が影響していると思うが、「気が付いたら見られなくなっていた」ということになるのが本当に恐ろしい。昆虫が棲めない環境は、人間にもいいはずがない。

  


Posted by 松田まゆみ at 15:10Comments(0)昆虫

2012年11月19日

フユシャクの舞う晩秋

 今頃の季節、車で出かけて帰りが夕刻になることがよくあるのだが、車のライトに道路の上をヒラヒラと舞う薄茶色の蛾が何匹も浮かび上がる。11月ともなると、夕刻の外気温は数度しかない。1、2度のときもあるのだが、そんな寒い中を飛んでいるのはフユシャクという蛾だ。

 フユシャクというのは冬(晩秋から早春)に成虫が発生するシャクガ科のガの総称で、日本では36種が知られている。

 他の虫たちの多くが越冬のために姿を消してしまう季節に、フユシャクは成虫が発生して産卵する。変わっているのは発生時期だけではない。フユシャクの雌はなんと翅がない、あるいは翅が退化していて飛ぶことができないのだ。飛べない雌はフェロモンを出して雄を呼び寄せる(もっとも雌がフェロモンで雄を呼び寄せるのはフユシャクに限ったことではないのだが・・・)。

 雄は車のライトに照らし出されるので頻繁に見ることができるのだが、雌は木の幹などでじっとしていることが多く、その気になって探さないと簡単には見つからない。

 2010年の11月にサホロ岳に登ったとき、登山口で変な虫が地面を歩いていた。白っぽい体に黒い斑点がある、ちょっとおしゃれな虫だったが、実はこの写真を撮ったときは何という昆虫なのかピンとこなかった。





 その後、これはチャバネフユエダシャクの雌であることが分かったのだが、この虫を見てガの成虫だと分かる人はそれほどいないだろう。

 フユシャクの雌は以前見たことがあるのだが、その種は薄茶色をしていて、「翅が退化したガ」だと言われればすぐに納得できる容姿をしていた。ところが、このチャバネフユエダシャクの雌ときたら、ちっとも「翅のないガ」に見えない。フユシャクの中でも変わり者だ。

 本州では真冬でもフユシャクが見られるようだが、日中でも気温がマイナスになる北海道では厳冬期になると見られなくなる。北海道では晩秋の今頃がフユシャクの季節なのだ。

 以下は札幌の方が撮影されたフユシャクの写真。

フユシャクを探す (円山原始林ブログ)
フユシャクを探す(2) (円山原始林ブログ)
フユシャクを探す(3) (円山原始林ブログ)
  


Posted by 松田まゆみ at 10:49Comments(0)昆虫

2012年08月02日

消えゆく光景-空を覆うアキアカネ

 ここ数日、アキアカネがよく目につくようになった。アキアカネとは、いわゆる赤トンボのことだ。今の季節はまだ赤くはなっていないので赤トンボだと思っていない人がいるかもしれない。





 アキアカネは、真夏の暑い時期に高原などに移動することが知られている。私が住んでいるところは十勝地方北部のやや標高の高いところで、真夏でも30度を超える日は非常に少ない(ゼロの年もある)。ここ数日、北海道は各地で30度を超える暑い日が続いている。暑さに弱いアキアカネは、暑い平地を逃れて大雪山系に避暑にやってきたのだろう。

 私には忘れられないアキアカネの思い出がある。それは長野県の霧ケ峰の光景だ。

 私が生まれたのは長野県の上諏訪だ。私の両親は「霧ケ峰は自分の庭」と言うくらい霧ケ峰によく出かけ、隅々まで知りつくしていた。そんなわけで、東京に引っ越した後も夏休みにはしばしば家族で霧ケ峰に行ったものだった。

 私がまだ小学生の頃はビーナスラインなどという自然破壊道路はできておらず、上諏訪から霧ケ峰に行く道はまだ砂利道だった。バスは土埃をあげながら角間新田の集落(山岳小説家の新田次郎の故郷である)を通り抜け、エンジンをふかせながらジグザグの山道をあえぎあえぎ登っていく。霧ケ峰に行くというのはバスに一時間ほど(子どもの頃にはそれ位の時間がかかったように思えた)揺られることであり、子どもの私には遠足気分だった。私はバスの車窓から見る風景が大好きだった。

 どんどん標高が上がるにつれて白樺が現れ、車窓から見える植物の種類は里とは違って高原らしさが漂ってくる。バスの終着である強清水(こわしみず)は、あちこちに高原の花が咲き、下界とは別世界だった。

 強清水からスキー場の斜面を登ったところに「忘れ路の丘」と呼ばれている丘がある。小ぢんまりとしたスキー場があり、昔からグライダーの練習場になっていた。丘の一帯は広大な草原が広がっており(といっても霧ケ峰はどこも広大な草原ばかりだったが)、「霧鐘塔」という鐘がぽつんとたっている。「霧ヶ峰」という名前がつくほど霧の多い高原のため、方向を知らせる目的で建てられたそうだ。今ではこの一帯は柵に囲まれた遊歩道しか歩くことができないが、かつては丘を自由に歩きまわることができた。

 強清水のバス停に降りた途端に迎えてくれるのがアキアカネだった。そして忘れ路の丘のアキアカネの大群は、それはそれは見事だった。とにかく青空をバックに無数のアキアカネが舞っている。大群というより、広々とした草原一面にアキアカネが乱舞しているといったほうがいいだろう。捕虫網を振り回さなくても網の中に勝手に入ってきたし、頭にも服にも止まった。そして帰りのバスの中にも必ず数匹のアキアカネが紛れ込んでいた。だから私にとっては「夏の忘れ路の丘=アキアカネの乱舞する丘」だった。

 アキアカネはどこにでも見られる普通種のトンボで、夏の高原では群れ飛ぶ姿が見られるが、あれほどの空を覆うようなアキアカネを私は知らない。

 霧ケ峰には今でもそれなりの数のアキアカネが避暑にくるのだろう。しかしその数はずっと減ってしまったのではなかろうか。昨今はアキアカネがすっかり減ってしまったと聞く。

 アキアカネは稲刈り後の水田に産卵し、卵で冬を越したあと春に水を張った田んぼで幼虫時代を過ごす。稲作と大きく関わっている種だけに、その減少には人為的な要素が大きく関わっているのだろう。アキアカネの減少については以下のような見解がある。

稲の苗箱処理剤が赤トンボを減らしていた(月刊現代農業)

神戸で激減!最普通種のアキアカネ(神戸のトンボ)

アキアカネの激減について(日本蜻蛉学会 和田茂樹さんより)(身近な水辺の自然探偵団2002)

 稲作の拡大とともに大群をつくるようになった生物とはいえ、あの夏の風物詩である高原の乱舞が過去のものとなってしまったのなら何とも寂しい。

  


Posted by 松田まゆみ at 17:30Comments(2)昆虫