鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 福一の放射能放出の真相や被ばくの実態は解明されていない
2013年02月28日
福一の放射能放出の真相や被ばくの実態は解明されていない
まもなく福島第一原発の事故が起きてから丸2年になるが、どうみても健康被害が顕在化してきている。マスコミはほとんど伝えないけれど、インターネットで情報収集している人の多くが感じていることだろう。以下のサイトでは、福島での健康被害についてまとめている。
福島で拡大している健康被害!高血圧症、中1年生で9倍 異常な数のお悔やみ記事 死亡率の上昇(正しい情報を探すブログ)
福島県の2010年と2012年の死亡率を比べると死亡率が上昇しておりそれは交通事故死のリスクの16倍、心疾患による死因が14.6%増加、子どもの高血圧症の増加・・・。この記事ひとつ読んでみても、尋常ではない状況になっていることが分かるだろう。病気や死亡率の上昇はいくら隠そうと思っても隠しきれない。それが事故後2年経ってかなり明確になってきている。これらをすべて原発事故によるストレスで説明するのはあまりに無理がある。もちろん放射能の影響によるものだという証拠はないが、疑わないほうが不自然だ。
いったい福島や関東地方ではどれほどの放射性物質が降りそそいだのだろう? 京都大学原子炉実験所の今中哲二氏は、大気中に放出された放射性物質の量を福島とチェルノブイリで比較し、キセノン133はチェルノブイリの2倍であるがセシウム137は20-40%程度、ストロンチウム90、プルトニウム239・240による汚染は小さい(飯館村の場合、ストロンチウム90はセシウム137の2000~3000分の1、プルトニウムは1000万~1億分の1)としている。
福島原発事故とチェルノブイリ原発事故による放射能放出と汚染に関する比較検討
この数値から見るなら、福島での被ばく量はチェルノブイリほど高くなく、チェルノブイリほどの健康被害は生じないということになりそうだし、実際、今中氏はそのようなスタンスのようだ。
しかし本当だろうか? ガンダーセン氏によると、福島はチェルノブイリと違って、放射能雲(プルーム)が地表を縫うように流れたので、その分、地上にいた人々の被ばく量はチェルノブイリでみた以上に高いのではないかと指摘しているそうだ。
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-282b.html
火山学者で群馬大教授の早川由紀夫さんは、事故後間もない頃から同様の指摘をしていた。考えてみれば、チェルノブイリと福島では放射性物質の放出の仕方がまるで違う。チェルノブイリでは大爆発を起こして放射能が空高く舞い上がり、北半球の広い地域を汚染した。その影響で日本も土壌が汚染された。しかし、福島は状況が異なる。目に見える爆発が起きたのは12日の1号機の建屋が吹っ飛んだときと14日の3号機の爆発。14日の3号機の爆発のときには確かにかなり上空まで黒い煙が立ち上った。しかし、これ以外に目にみえない放射性物質の放出が複数回ある。
まず、1号機ではベント開始の5時間前から10キロ圏に放射性物質が拡散されていたことが最近になって分かった。ベント直前の3月12日10時には通常の720倍が記録され、避難前の住民が高線量にさらされていたそうだ。この事実は国会と政府の事故調査委も把握していなかったという。原子炉建屋が水素爆発で吹っ飛ぶかなり前から高濃度の放射性物質が漏れていたことになる。
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-3059.html
15日の2号機のサプレッションチェンバーの爆発は1号機や3号機のような建屋が吹き飛ぶ大爆発にはならなかったが、確実に大量の放射性物質が漏れたはずだ。3月20日の3号機の爆発に関しては未だに東電は隠し続けている。このときもかなり放射性物質が放出されたはずだ。
2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発(Space of ishtarist)
さらにガンダーセン氏は4号機の燃料プールでは水位低下によって燃料棒が大気に露出したという指摘までしている。これが事実ならかなりの放射性物質の放出があっただろう。
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-7817.html
これらの大爆発を伴わない放射性物質の放出は、空高く噴きあげられてはいない。地表近くを流れる風によって這うように放射能雲が移動していったのではなかろうか。事故後2年経たないうちに、福島では甲状腺がんの子どもが3人、疑いのある子供が7人確認され、健康被害は関東地方にまで及んでいると思われることからも、地表を這うように移動した放射性物質を呼吸によって吸い込んでしまった人が多いのではないかと思えてならない。
しかし、今中さんはこのような放射能プルームの動態まで考慮していないように思える。しかも、保安院の放出量の数値は過小評価している可能性も高く、そもそも信用できない。また、今中さんについては以下のような批判意見もある。私も、今中さんは内部被ばくについて過小評価しているとしか思えないし、チェルノブイリの被害者数を2万人と見積もっているところなど明らかに過小評価だ。
京大の今中哲二助教の健康被害についての言葉に要注意! (被曝後の世界に生きる)
チェルノブイリと福島では放射性物質の大量放出の回数も、放出量も、拡散の仕方も、また放出された核種の割合も異なる。だから、今の段階では公表された放出量の比較だけで福島の方が健康被害は小さいなどと言うことはできないのではなかろうか。また以下のような見解もあり、ホールボディカウンターによる数値だけで内部被ばくはたいしたことがない、と言ってしまうのも危険だと思う。
ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない?? (もみの木医院)
福島県から栃木県北地方の内部被ばくについて (もみの木医院)
原発事故と放射線障害に対する考え方 (もみの木医院)
~脱原発のすすめ~ (もみの木医院)
事故から2年経った今もいったいどれほどの放射性物質が福一から放出され、人々がどれくらい吸い込んでしまったのか明確にわかっていないと言ってもいいだろう。福島のようなタイプの事故は初めてのことだし、内部被ばくや低線量被曝についてはまだ分からないことも多い。
だから、安易に「チェルノブイリのようにはならない」などと言うべきではない。もし、これから健康被害がどんどん増えていくのなら「福島では健康被害は起きない」「内部被ばくはたいしたことはない」と言っていた人の責任は限りなく大きいことになる。
福島で拡大している健康被害!高血圧症、中1年生で9倍 異常な数のお悔やみ記事 死亡率の上昇(正しい情報を探すブログ)
福島県の2010年と2012年の死亡率を比べると死亡率が上昇しておりそれは交通事故死のリスクの16倍、心疾患による死因が14.6%増加、子どもの高血圧症の増加・・・。この記事ひとつ読んでみても、尋常ではない状況になっていることが分かるだろう。病気や死亡率の上昇はいくら隠そうと思っても隠しきれない。それが事故後2年経ってかなり明確になってきている。これらをすべて原発事故によるストレスで説明するのはあまりに無理がある。もちろん放射能の影響によるものだという証拠はないが、疑わないほうが不自然だ。
いったい福島や関東地方ではどれほどの放射性物質が降りそそいだのだろう? 京都大学原子炉実験所の今中哲二氏は、大気中に放出された放射性物質の量を福島とチェルノブイリで比較し、キセノン133はチェルノブイリの2倍であるがセシウム137は20-40%程度、ストロンチウム90、プルトニウム239・240による汚染は小さい(飯館村の場合、ストロンチウム90はセシウム137の2000~3000分の1、プルトニウムは1000万~1億分の1)としている。
福島原発事故とチェルノブイリ原発事故による放射能放出と汚染に関する比較検討
この数値から見るなら、福島での被ばく量はチェルノブイリほど高くなく、チェルノブイリほどの健康被害は生じないということになりそうだし、実際、今中氏はそのようなスタンスのようだ。
しかし本当だろうか? ガンダーセン氏によると、福島はチェルノブイリと違って、放射能雲(プルーム)が地表を縫うように流れたので、その分、地上にいた人々の被ばく量はチェルノブイリでみた以上に高いのではないかと指摘しているそうだ。
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-282b.html
火山学者で群馬大教授の早川由紀夫さんは、事故後間もない頃から同様の指摘をしていた。考えてみれば、チェルノブイリと福島では放射性物質の放出の仕方がまるで違う。チェルノブイリでは大爆発を起こして放射能が空高く舞い上がり、北半球の広い地域を汚染した。その影響で日本も土壌が汚染された。しかし、福島は状況が異なる。目に見える爆発が起きたのは12日の1号機の建屋が吹っ飛んだときと14日の3号機の爆発。14日の3号機の爆発のときには確かにかなり上空まで黒い煙が立ち上った。しかし、これ以外に目にみえない放射性物質の放出が複数回ある。
まず、1号機ではベント開始の5時間前から10キロ圏に放射性物質が拡散されていたことが最近になって分かった。ベント直前の3月12日10時には通常の720倍が記録され、避難前の住民が高線量にさらされていたそうだ。この事実は国会と政府の事故調査委も把握していなかったという。原子炉建屋が水素爆発で吹っ飛ぶかなり前から高濃度の放射性物質が漏れていたことになる。
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-3059.html
15日の2号機のサプレッションチェンバーの爆発は1号機や3号機のような建屋が吹き飛ぶ大爆発にはならなかったが、確実に大量の放射性物質が漏れたはずだ。3月20日の3号機の爆発に関しては未だに東電は隠し続けている。このときもかなり放射性物質が放出されたはずだ。
2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発(Space of ishtarist)
さらにガンダーセン氏は4号機の燃料プールでは水位低下によって燃料棒が大気に露出したという指摘までしている。これが事実ならかなりの放射性物質の放出があっただろう。
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2013/02/post-7817.html
これらの大爆発を伴わない放射性物質の放出は、空高く噴きあげられてはいない。地表近くを流れる風によって這うように放射能雲が移動していったのではなかろうか。事故後2年経たないうちに、福島では甲状腺がんの子どもが3人、疑いのある子供が7人確認され、健康被害は関東地方にまで及んでいると思われることからも、地表を這うように移動した放射性物質を呼吸によって吸い込んでしまった人が多いのではないかと思えてならない。
しかし、今中さんはこのような放射能プルームの動態まで考慮していないように思える。しかも、保安院の放出量の数値は過小評価している可能性も高く、そもそも信用できない。また、今中さんについては以下のような批判意見もある。私も、今中さんは内部被ばくについて過小評価しているとしか思えないし、チェルノブイリの被害者数を2万人と見積もっているところなど明らかに過小評価だ。
京大の今中哲二助教の健康被害についての言葉に要注意! (被曝後の世界に生きる)
チェルノブイリと福島では放射性物質の大量放出の回数も、放出量も、拡散の仕方も、また放出された核種の割合も異なる。だから、今の段階では公表された放出量の比較だけで福島の方が健康被害は小さいなどと言うことはできないのではなかろうか。また以下のような見解もあり、ホールボディカウンターによる数値だけで内部被ばくはたいしたことがない、と言ってしまうのも危険だと思う。
ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない?? (もみの木医院)
福島県から栃木県北地方の内部被ばくについて (もみの木医院)
原発事故と放射線障害に対する考え方 (もみの木医院)
~脱原発のすすめ~ (もみの木医院)
事故から2年経った今もいったいどれほどの放射性物質が福一から放出され、人々がどれくらい吸い込んでしまったのか明確にわかっていないと言ってもいいだろう。福島のようなタイプの事故は初めてのことだし、内部被ばくや低線量被曝についてはまだ分からないことも多い。
だから、安易に「チェルノブイリのようにはならない」などと言うべきではない。もし、これから健康被害がどんどん増えていくのなら「福島では健康被害は起きない」「内部被ばくはたいしたことはない」と言っていた人の責任は限りなく大きいことになる。
Posted by 松田まゆみ at 10:40│Comments(0)
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