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2014年09月03日
オニグモに産卵するオニグモヤドリキモグリバエ
下の写真は一週間ほど前の夕方に撮影したもので、雌のオニグモに産卵しようとしているオニグモヤドリキモグリバエだ。オニグモの右下に黄色い小さなハエが2匹いるのだが、飛んでいるのでピントがきれいに合っていない。しかし、右側の個体はハエであることが分かると思う。
![オニグモに産卵するオニグモヤドリキモグリバエ オニグモに産卵するオニグモヤドリキモグリバエ](http://img01.sapolog.com/usr/o/n/i/onigumo/P1050997-1.jpg)
オニグモヤドリキモグリバエは今ごろの季節によく見られるクモの寄生バエだ。オニグモの腹部についている白い点のようなものがハエの卵。ちょうどオニグモが網を張る夕刻時をねらってハエが集まってくるようだ。このオニグモのまわりには3、4匹のハエが飛びまわっていた。
ハエが産卵するときはすごい早技をする。ハエはオニグモの下方を飛びまわって産卵のチャンスをうかがっているのだが、いきなりすごい速さでオニグモの腹部に突進し、一瞬のうちに産卵する。動画撮影しない限り、産卵の瞬間はとても撮影できそうにない。
オニグモもこのハエをとても嫌がっているのだが、産卵されるのを回避することもできないようだ。なんだか気の毒だが、これも自然の摂理だ。
オニグモはこれから産卵をするのだが、実は産卵時にハエの幼虫がオニグモのお腹を伝ってオニグモの卵のう(多数の卵のかたまりを糸で包んだもの)に潜り込むことが分かっている。おそらく産卵時の独特の振動をハエが察知して、卵に乗り移るのだろう。ハエの幼虫はオニグモの卵を食べて成長して蛹になり、やがて成虫となって卵のうから出ていく。つまり、オニグモがハエに食べられるわけではなく、オニグモの卵が食べられるのだ。
オニグモヤドリキモグリバエと名前がつけられているように、主な宿主はオニグモのようだが、オニグモ以外のクモにも寄生することがあるそうだ。北海道では注意深く観察しているとハエの卵がついているオニグモがよく見られるので、珍しい寄生バエというわけではない。
それにしても、このハエはクモの産卵シーズンになるまでどこでどうやって過ごしているのかと不思議でならない。秋に成虫になったハエは、オニグモが産卵間近になる翌年の夏までどこかでひっそりと生き続けているのだろうか?
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不思議なオニグモの寄生バエ
![オニグモに産卵するオニグモヤドリキモグリバエ オニグモに産卵するオニグモヤドリキモグリバエ](http://img01.sapolog.com/usr/o/n/i/onigumo/P1050997-1.jpg)
オニグモヤドリキモグリバエは今ごろの季節によく見られるクモの寄生バエだ。オニグモの腹部についている白い点のようなものがハエの卵。ちょうどオニグモが網を張る夕刻時をねらってハエが集まってくるようだ。このオニグモのまわりには3、4匹のハエが飛びまわっていた。
ハエが産卵するときはすごい早技をする。ハエはオニグモの下方を飛びまわって産卵のチャンスをうかがっているのだが、いきなりすごい速さでオニグモの腹部に突進し、一瞬のうちに産卵する。動画撮影しない限り、産卵の瞬間はとても撮影できそうにない。
オニグモもこのハエをとても嫌がっているのだが、産卵されるのを回避することもできないようだ。なんだか気の毒だが、これも自然の摂理だ。
オニグモはこれから産卵をするのだが、実は産卵時にハエの幼虫がオニグモのお腹を伝ってオニグモの卵のう(多数の卵のかたまりを糸で包んだもの)に潜り込むことが分かっている。おそらく産卵時の独特の振動をハエが察知して、卵に乗り移るのだろう。ハエの幼虫はオニグモの卵を食べて成長して蛹になり、やがて成虫となって卵のうから出ていく。つまり、オニグモがハエに食べられるわけではなく、オニグモの卵が食べられるのだ。
オニグモヤドリキモグリバエと名前がつけられているように、主な宿主はオニグモのようだが、オニグモ以外のクモにも寄生することがあるそうだ。北海道では注意深く観察しているとハエの卵がついているオニグモがよく見られるので、珍しい寄生バエというわけではない。
それにしても、このハエはクモの産卵シーズンになるまでどこでどうやって過ごしているのかと不思議でならない。秋に成虫になったハエは、オニグモが産卵間近になる翌年の夏までどこかでひっそりと生き続けているのだろうか?
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Posted by 松田まゆみ at 21:37│Comments(8)
│クモ
この記事へのコメント
素晴らしい。
こうした現象(生態系か)を、人の感情で見てはならないでしょう。
何でもかんでも”カワユーイ”としか表現しない女子高生などに見せてやりたい。現代の若者を野に放つべきです。
自然を「保護」する、人類の愚かさを知るべきなのです。
こうした現象(生態系か)を、人の感情で見てはならないでしょう。
何でもかんでも”カワユーイ”としか表現しない女子高生などに見せてやりたい。現代の若者を野に放つべきです。
自然を「保護」する、人類の愚かさを知るべきなのです。
Posted by そりゃないよ獣医さん at 2014年09月03日 23:02
獣医さん、コメントありがとうございました。
生き物たちを見ていると、自然界の生物はみな必死で生きているのが伝わってきます。
人はすぐに「害虫」とか「益虫」などと利害関係で物を見てしまいますが、自然界に「害になる虫」とか「益になる虫」などという存在はありません。どんな生物も、長い進化の歴史の中で育まれてきたことを忘れてはならないと思います。
生き物たちを見ていると、自然界の生物はみな必死で生きているのが伝わってきます。
人はすぐに「害虫」とか「益虫」などと利害関係で物を見てしまいますが、自然界に「害になる虫」とか「益になる虫」などという存在はありません。どんな生物も、長い進化の歴史の中で育まれてきたことを忘れてはならないと思います。
Posted by 松田まゆみ
at 2014年09月03日 23:19
![松田まゆみ 松田まゆみ](http://sapolog.com/img/usr_write.gif)
オニグモ ヤドリ キ モグリバエ ですか.「キ」はどういう意味? 黄色い体色でしょうか.
Posted by Ladybird at 2014年09月15日 00:35
Ladybirdさん
双翅目の中にキモグリバエ科というのがあります。幼虫が植物の茎などに潜入することからこのような科名がついたようですが、植物食のほかに肉食性や腐食性、寄生性などの種も含まれ、かなり多様なグループのようです。
双翅目の中にキモグリバエ科というのがあります。幼虫が植物の茎などに潜入することからこのような科名がついたようですが、植物食のほかに肉食性や腐食性、寄生性などの種も含まれ、かなり多様なグループのようです。
Posted by 松田まゆみ
at 2014年09月15日 07:18
![松田まゆみ 松田まゆみ](http://sapolog.com/img/usr_write.gif)
ご教示ありがとうございます.では黄モグリバエではなくて,木モグリバエ?
市販の一般向け図鑑類にあまり出ていない類なので,行き詰まっています.もう少し調べてみますね.
市販の一般向け図鑑類にあまり出ていない類なので,行き詰まっています.もう少し調べてみますね.
Posted by Ladybird at 2014年09月20日 19:50
Ladybirdさん
「木モグリバエ」でしょうね。また、ハモグリバエ科というのがあります。幼虫が葉の中に入って組織を食べるタイプで、葉に幼虫が食害した痕がつくので「絵描き虫」などとも呼ばれます。こちらは「葉モグリバエ」ですね。
ハエやハチの仲間は種類が多く、小型で同定が難しいものも多いので、一般的な図鑑にはあまり広範囲には取り上げられていないのだと思います。
「木モグリバエ」でしょうね。また、ハモグリバエ科というのがあります。幼虫が葉の中に入って組織を食べるタイプで、葉に幼虫が食害した痕がつくので「絵描き虫」などとも呼ばれます。こちらは「葉モグリバエ」ですね。
ハエやハチの仲間は種類が多く、小型で同定が難しいものも多いので、一般的な図鑑にはあまり広範囲には取り上げられていないのだと思います。
Posted by 松田まゆみ
at 2014年09月21日 07:13
![松田まゆみ 松田まゆみ](http://sapolog.com/img/usr_write.gif)
あの粒粒はやっぱり卵だったンですね。道東に引っ越してから初めて見たので「この地域特有の植物が飛ばした種子」かなにかかと思っていました。勉強になります。
Posted by マナヴ at 2015年08月22日 20:57
マナヴさん
これからはオニグモヤドリキモグリバエがよく見られる季節です。このハエは本州にもいますが、北海道は本州より普通に見られるようです。網を張っているオニグモを見かけたら気をつけて見ていると産卵に訪れたハエを見られるかもしれません。
これからはオニグモヤドリキモグリバエがよく見られる季節です。このハエは本州にもいますが、北海道は本州より普通に見られるようです。網を張っているオニグモを見かけたら気をつけて見ていると産卵に訪れたハエを見られるかもしれません。
Posted by 松田まゆみ
at 2015年08月22日 21:51
![松田まゆみ 松田まゆみ](http://sapolog.com/img/usr_write.gif)
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