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2012年11月26日
危機に瀕している更別のヤチカンバ
先日、更別村を通った際にヤチカンバ自生地に寄ってみた。ヤチカンバは、周極分布をするヒメカンバの一種で、氷期に日本列島に分布していたものと考えられている。いわゆる氷河時代の遺存種だ。日本では更別村と別海町の湿原に分布している。おそらくかつては広い自生地があったのだろうが、開発によって大半が失われてしまったと思われる。更別村の自生地は北海道の天然記念物に、別海町の自生地は町の天然記念物に指定されている。
更別村のヤチカンバ自生地は以前にも何回か見ているのだが、驚いたことに景色が一変していた。
(写真:奥の白っぽい幹の木がヤマナラシ)
以前とどう変わったのかというと、以前は背丈の低いヤチカンバ林が一面に広がっていたのに、今はヤチカンバの中に抜きんでるように若いヤマナラシが何本も立っているのだ。このまま放置したらヤマナラシが優勢となりヤチカンバを駆逐してしまうのではないか・・・。
(写真:湿原に侵入するヤマナラシ)
ヤマナラシは根萌芽をする。根萌芽とは、地下で水平に伸ばした根から芽をだして幹を立ち上げる性質のことだ。これによって、どんどん個体を増やすことができる。外来種のニセアカシアも根萌芽の性質がある。根萌芽する植物は、地上部を伐っても根が残っていればまた幹を立ち上げてしまう。だから、このような植物は一度侵入してしまうと駆除がとても困難になる。
ヤマナラシがヤチカンバ生育地の中にまで侵入してきたということは、この湿原は乾燥化が進んでいるのではなかろうか。
そこでちょっと調べてみると、更別村のヤチカンバ自生地は乾燥化が進み、自生地の面積も縮小していることが分かった。
氷河期の生き残り:ヤチカンバ(森林総合研究所北海道支所研究レポート
このレポートによると、湿原外植物の侵入や乾燥化といった環境条件の悪化によってヤチカンバがストレスを受けているという。枯死率を下げるために、排水溝を埋め戻したり湿原外植物を取り除くなどの対策を提言している。
このレポートが発行されたのは2004年7月である。8年も前にこのような問題提起と提言がなされていたにも関わらず、さらに環境条件は悪化して湿原外植物が広がり深刻な事態になっているのである。管理者は何の対策も講じてこなかったのだろうか。
天然記念物に指定したり、レッドリストで絶滅危惧種に指定しも、それだけでは保護することはできない。ヤチカンバ林を保全するためには乾燥化を防ぐ手立てをするとともに、ヤマナラシなどの湿原外植物の駆除をするべきだろう。
更別村のヤチカンバ自生地は以前にも何回か見ているのだが、驚いたことに景色が一変していた。
(写真:奥の白っぽい幹の木がヤマナラシ)
以前とどう変わったのかというと、以前は背丈の低いヤチカンバ林が一面に広がっていたのに、今はヤチカンバの中に抜きんでるように若いヤマナラシが何本も立っているのだ。このまま放置したらヤマナラシが優勢となりヤチカンバを駆逐してしまうのではないか・・・。
(写真:湿原に侵入するヤマナラシ)
ヤマナラシは根萌芽をする。根萌芽とは、地下で水平に伸ばした根から芽をだして幹を立ち上げる性質のことだ。これによって、どんどん個体を増やすことができる。外来種のニセアカシアも根萌芽の性質がある。根萌芽する植物は、地上部を伐っても根が残っていればまた幹を立ち上げてしまう。だから、このような植物は一度侵入してしまうと駆除がとても困難になる。
ヤマナラシがヤチカンバ生育地の中にまで侵入してきたということは、この湿原は乾燥化が進んでいるのではなかろうか。
そこでちょっと調べてみると、更別村のヤチカンバ自生地は乾燥化が進み、自生地の面積も縮小していることが分かった。
氷河期の生き残り:ヤチカンバ(森林総合研究所北海道支所研究レポート
このレポートによると、湿原外植物の侵入や乾燥化といった環境条件の悪化によってヤチカンバがストレスを受けているという。枯死率を下げるために、排水溝を埋め戻したり湿原外植物を取り除くなどの対策を提言している。
このレポートが発行されたのは2004年7月である。8年も前にこのような問題提起と提言がなされていたにも関わらず、さらに環境条件は悪化して湿原外植物が広がり深刻な事態になっているのである。管理者は何の対策も講じてこなかったのだろうか。
天然記念物に指定したり、レッドリストで絶滅危惧種に指定しも、それだけでは保護することはできない。ヤチカンバ林を保全するためには乾燥化を防ぐ手立てをするとともに、ヤマナラシなどの湿原外植物の駆除をするべきだろう。
Posted by 松田まゆみ at 16:56│Comments(0)
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