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鬼蜘蛛の網の片隅から › クモ › 破壊された海岸

2009年07月30日

破壊された海岸

 本州では工業開発などによってイソコモリグモの生息地がかなり消滅してしまったようです。北海道は工業開発による海浜の消滅はそれほど多くはありませんが、工業開発によってもっとも影響を受けたのは勇払の海岸でしょうか。

 勇払の海岸は砂丘が発達し、かつてはイソコモリグモの良好な生息地であったと考えられますが、港湾と苫小牧東部工業地帯の開発の影響を受けました。苫小牧東部工業地帯の開発は事実上失敗したのですが、良好な砂浜は一部しか残されていません。

 先日、勇払の海岸状況を調べに出かけて、驚くべき光景に遭遇しました。海浜植物に覆われていたはずの砂丘が突然グランドのように開け、ブルドーザーで平らに均されているのです。よく見るとあちこちにブルドーザーが動いています。均された砂浜を海岸沿いにたどっていくと、近くに砂採りの砂山があり、そこからブルドーザーが出入りしていました。

破壊された海岸


 植物群落が残されているところの近くにはかろうじてイソコモリグモの巣穴がありましたが、ブルドーザーが走り回って固めてしまったところは壊滅的状況です。何のためにこのようなことをしているのかよく分からないのですが、これはイソコモリグモ生息地の大々的な破壊です(写真は穴の中から覗くイソコモリグモ。この穴のあるところは砂丘が破壊されてしまった)。

破壊された海岸


 苫東への企業誘致は失敗したものの、砂の採取やこのような破壊行為によって海岸の自然はどんどん失われていくのです。石狩浜では車の進入などで破壊されてしまった植生を回復させようと、あちこちに通行止めのロープが張られていました(写真)が、勇払海岸の破壊はそれとは対照的な光景です。

破壊された海岸



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Posted by 松田まゆみ at 16:14│Comments(3)クモ
この記事へのコメント
 酷い写真ですね。
こちら山国でも、海岸の代わりに無残に森林が破壊された工業団地予定地が沢山あります

>苫小牧東部工業地帯の開発は事実上失敗した

全国至る所で工業団地の失敗例が溢れていますね。

税金の無駄遣いもいいところで、それによって夕張市のように
財政破綻しそうな自治体も沢山ありますね。

それ以上に破壊された自然の損害は甚大です。
みんなの共有財産である自然をこんなに破壊する権利を誰が持っているのでしょうか?
非情に悲しく腹立だしい光景ですね。
・・・こうやって自然を破壊した人類は、自滅して行くのでしょうか??
Posted by 雑草Z at 2009年07月31日 09:35
こんばんは、苫東地区はもともと広大な湿原地帯で浜辺には
ハマナスがびっしりと咲き乱れていました.
湿地から染み出した栄養価の高い水の糧で沿岸でも
様々な漁が行われていましたが、見る影もなく魚たちは消えていきました.
現在の漁は概ね税金を 注ぎこんだ栽培漁業による物ばかりです.

市民が望んだ訳ではないのに..こうしたツケは必ず納税者にむけられるようです.

野鳥のサンクチュアリとして知られるウトナイ湖周辺も苫東地区の進出によって
砂漠化が顕著にみられます. 砂漠化が進むと 消えていく生物がいて
進出してくる生物もいるものですが、このように平らに圧迫されては
生物はすんでいけません. 生命のない大地を造るばかりで
経済貢献さえできなかった苫東 . 二風谷もこの展望のない事業のために
ダムに沈んだのです.
経済と自然との共生、経済振興 .. 苫東の謳った物は形が半世紀が過ぎても
見えてきません.
Posted by こるとれーんtone at 2009年07月31日 18:54
雑草Z様

恐らくここはつい最近まで海浜植物に覆われていたところではないかと思います。誰がどのような目的でこのようなことをやっているのかわかりませんが、あまりにも無惨な自然破壊です。世の中は「エコ」「エコ」のかけ声ばかりが響いていますが、環境問題がこれだけ問われているなかで、環境問題とはどういうことかがわかっていないとしか思えません。行政は何を考えているのでしょうね。


こるとれーんtone様

ウトナイ湖やその周辺の湖沼の様子からも、かつて勇払原野に湖沼と湿原が広がっていたことがわかります。このあたりにはミズグモの生息する沼もありますが、こうした開発行為でどんどん潰されていったのでしょう。経済成長を目指した愚かな開発行為が、海岸だけではなく連鎖的に多くの自然破壊を引き起こしていることを、多くの人に知ってもらいたいと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年08月01日 08:37
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