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2010年09月11日

林野庁は違法伐採を認めたけれど

 昨日の夕方、北海道森林管理局が大雪山国立公園内の石狩川源流部での違法伐採を認めて記者会見をしたとの情報が入りました。以下が北海道森林管理局のプレスリリースです。

上川中部森林管理署における森林法違反行為について

 ここは水源涵養保安林に指定されており、伐採には知事の同意を得なければなりません。知事に届け出て同意を得ていた集材路の面積は3.2ha、長さは8,025mですが、実際には8.57ha、20,239mだったとのこと。長さで12.2kmも過剰だったのです。知事の同意を得ていた土場の面積も0.41ha広かったとのことです。

 また、77本の伐採について知事の同意を得ていなかった(すなわち盗伐)としています。

 これまで林野庁は違法伐採疑惑を指摘してもなかなか認めようとしなかったのですが、今回は自ら調査をして認めたので、その点については進歩したといえるでしょう。しかし、林野庁が「原因」として述べている言い訳は、とても納得できるものではありません。

 たとえば、集材路の面積や長さが申請より過剰だったことについては、「責任施行である当該事業の請負事業者が予め森林管理署に申し出るべきであったのに、これを行わなかったことが原因と考えられます」としています。また、森林管理署の監督責任については「既に知事同意を得ていた数量について、事業発注の際に事業内容を精査したにもかかわらず、道知事への追加・変更協議を怠ったことや、一部現場における誤った指示があったことなど、その管理体制にも問題がありました」ということになっています。

 しかし、集材路は申請した長さの2.5倍にものぼるのです。業者は申請通りの集材路で作業をするべきなのです。これほどの追加が必要だというのはとても不自然です。盗伐のために勝手に集材路をつけたというのが真実ではないでしょうか。森林管理署が事業内容を精査していたなら、追加・変更を怠るというのも不自然です。ここから見えてくるのは、業者の違法行為を知りながら見逃していたという森林管理署と業者の癒着疑惑です。

 また、盗伐については「不適切な伐採」という書き方をしています。そして「請負事業者側の現場代理人と伐採作業従事者との連携不足による錯誤が原因と考えられます」としています。しかし、伐採現場では伐根にナンバーテープがついているもの(収穫木であるという証拠)とついていないものが混在していました。これはどう考えても、錯誤などというものではなく、確信犯の盗伐としか思えません。盗伐をした業者を擁護するような釈明です。こんな盗伐を見逃した森林管理署も、確信犯ではないでしょうか。自然保護団体の調査がなければ、闇に葬られてしまったのです。




(写真はナンバーテープのない伐根)

 土場の面積なども、計測は容易です。二つの現場で集材路・土場・盗伐という違法行為が重なっていたのに、「追加・変更を怠った」とか「錯誤」では誰も素直に納得しないでしょう。

 また、集材路は約12kmも長かったのです。ここにあった木は伐採されたのですが、それらはどうなったのでしょうか? 今回の72本の違法伐採の本数にはそれはカウントされていません。つまり、とても不十分な調査報告だということです。内部調査による甘さが見え見えです。

 集材路とか土場の面積が申請より広かったなどということは、消し去ることのできない事実ですので、森林管理局としては認めざるを得なかったということでしょう。しかし、盗伐については、かなり誤魔化しているのではないかと思わざるを得ません。

 ということで、日本森林生態系保護ネットワークは再度、この現場で調査を行うことにしています。


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Posted by 松田まゆみ at 16:19│Comments(7)森林問題
この記事へのコメント
大根一本よりも安い間伐木。
77本の無許可伐採を認めさせたといっても、損害額は、たったの1万円以下だと思うのですが^^;

林業業者も管理局もそれが生業ですが、あら探しをしているみなさんは「遊び」(趣味?)ですよね。

大騒ぎすると、喜ぶ人たちでも、後ろのにいるんですか?

そういう利権があって、「遊び」もお金になるのかと、勧くぐってしまうのですが。
Posted by 林業の街の住民 at 2010年09月11日 23:48
林業の街の住民様

盗伐されたのは間伐材ではありません。1本だけで1万円以上するような樹がたくさんありました。現場も見ないで、いいかげんなことを書くのはやめましょう。あなた、盗伐した側の関係者?
Posted by 松田まゆみ at 2010年09月12日 06:57
昔は盗伐が常態化していたといいますが、いまも横行している現実に怒りを覚えます。しかも国立公園のなかで。この国では10月に生物多様性条約締約国会議が開催されるのです。恥ずかしい限りです。
勝手につけた集材路や拡げた土場に、どれほどの立木があったかが今後の調査のポイントになるのではないでしょうか。
Posted by キムンカムイ at 2010年09月12日 10:44
キムンカムイ様

昔から盗伐の噂はよく聞きましたが、これまではほとんど野放し状態だったのではないでしょうか。自然保護団体の調査によって上ノ国のブナ林の違法伐採が表面化し、林野庁も少しは反省したのかと思ったのですが、そんなことはなかったようですね。
Posted by 松田まゆみ at 2010年09月12日 13:30
 いろいろな指摘は、私たち山で働く者もすなおに受け止める必要があると思います。
 今回の問題は、まさに官民問わずあってはいけないことだと思います。
 ただし、木を切ることが一律に悪とする主張はなじめません。
 あなた方は、紙、木製品、燃料など、現在木に頼っているものを何に換えるのですか。石油から作るのですか?それとも外国材に頼るのですか。
 自然保護を訴える人たちは、普段は市街地で電気や紙、石油を使いながら、たまに(失礼かもしれませんが)山に来て、やれ木を切ってる、ナキウサギが居るところで工事をやっていると騒ぎます。
Posted by 木こりの親爺 at 2010年09月12日 22:31
木こりの親爺様

私は、木を伐ることが悪だなどと書いたことはありません。木材生産はもちろん大事なことですし、木材生産のあり方などについても言及しています。

自然保護団体が問題にしているのは、林野庁が国立公園や国定公園の奥山にまで網の目のような作業道をつけて山肌をズタズタにし、「老齢過熟木を伐って若木を育てる」との名目で、高価な大径木ばかりを伐り出し、森林生態系を破壊してきたことです。北海道に、原生林といえる森林がどれほど残されているとお考えですか? ほとんどありませんよ。

これは林業というより、略奪です。こうした伐採によって絶滅の危機に追いやられてしまった生き物がいるのです。

守るべき天然林はきちんと守り、それ以外のところで持続可能な林業をしていくべきだといっているのですが。

一部の記事を読んだだけで、「木を切ることが一律に悪とする主張」と決めつけるのはいかがなものでしょうか。
Posted by 松田まゆみ at 2010年09月12日 23:23
大雪山国立公園の森林は、かつて1ヘクタール当たり300から400立方メートルもの蓄積量がありました。つまり千石山以上でした。しかし現在は半分以下の蓄積量になってしまい、しかも低品質化しました。
これは、林野庁が生長量にみあった伐採量だから問題ないと国民をごまかして良木から伐採し続けた結果です。そして盗伐がこれに拍車をかけたことは間違いありません。

さて、ヤマリン盗伐事件はまだ記憶に新しいところです。この事件は、某伐採業者(業界では有名な人物)が余りにひどい盗伐であると告発して発覚しました。
盗伐を許せというような発言は、まじめな林業者を侮辱するものです。
Posted by キムンカムイ at 2010年09月13日 11:09
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