さぽろぐ

日記・一般  |その他北海道

ログインヘルプ


鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 3号機格納容器内爆発について隠蔽を続ける東電と政府

2012年05月28日

3号機格納容器内爆発について隠蔽を続ける東電と政府

 福島第一原発の爆発について振り返ってみよう。まず1号機が爆発して建屋の上部が吹っ飛んだのは3月12日だった。14日には3号機が爆発して建屋が大破。15日には2号機のサプレッションチェンバーが破損し、4号機の建屋も爆発で大破した。この一連の爆発によって15日から16日にかけて大量の放射性物質が福島県を中心とした地域に降り注いだことは明らかだ。

 一方で、3月21日に福島第一原発からの放射能雲が関東地方を襲い、関東地方を汚染したことも広く知られている。このときの放出が関東地方のあちこちにホットスポットをつくった。しかし、このときに大量の放射性物質を放出するような大きな爆発が起こったという報道はなかった。このために21日の放射能雲をつくった放射性物質の大量放出は何号機のものだったのかずっと不可解に思っていた。

 ところが先日、「さつき」さんのブログ記事で岡田直樹さんの以下の記事を知った。

2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発(Space of ishtarist)

 この記事は2011年6月25日に書かれたもので、3月20日の福島第一原発3号機の格納容器内爆発により21日に関東地方が汚染されたということについての考察だ。東電のデータを詳しく検証しており、非常に説得力のある内容になっている。長い記事だが、多くの人に読んで事の重大性を考えてもらいたい。

 岡田さんは20日から21日にかけての3号機の格納容器内爆発こそ「大気圏核実験が全盛期だった過去50年間の同地域の送料に匹敵する莫大なもの」であり、福島の事故で最大の被害をもたらすものだったという。

 岡田さんの論考によると、20日から21日にかけて3号機の圧力容器は設計圧力を大幅に超える圧力が記録されており、圧力容器・格納容器ともに大破したことが明らかだという。これは関東地方の放射線量が21日に急増したことと符合する。しかも、その事故は再臨界を伴う可能性が否定できないとしている。さらに問題なのは、15日の大量放出ではキセノン133など人体への影響が警備な希ガスであったのに対し、21日の大量放出ではヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどが主だったと考えられているそうだ。

 岡田さんは、このことについて東電と政府の中枢部は知っていたが、隠蔽しているというのだ。3号機の建屋は14日にすでに大破していたので、20日から21日にかけての格納容器内爆発は「目に見えなかった爆発」ということになる。このことは、3号機の重大な爆発を隠蔽するには好都合だろう。恐らくこれは福島第一原発の事故における最大の機密事項ではなかろうか。

 東京電力は24日に福島第一原発で大気中に放出された放射性物質の放出量の試算を公表し、昨年3月だけで90万テラベクレル放出されたとした。

 新聞に掲載された12日から20日までの放出量の推定の表では、大量放出が14日から19日までに集中しており16日が最も多い。それに対し、20日の放出量は4.584万テラベクレルしかない。しかも20日の欄には「2号機からの放出続く」と記されており、3号機からの放出であるとは書いてない。この東電の推定放出量の表からは、21日に関東地方を襲った放射能雲の発生源は分からない。今回の東電の試算では、20日の大量放出を隠蔽しているとしか思えない。それに12日の1号機の爆発では大量放出はなかったのだろうか? このとき東電社員の家族は逃げていたのだ。

 新聞記事では、90万テラベクレルという量はチェルノブイリの事故の6分の1程度であるとしている。あたかもチェルノブイリの事故よりかなり小さな事故であるとでも言いたいかのようだ。しかし人口密度の高い首都圏を放射能雲が襲ったのだから、人口密度がまったく異なるチェルノブイリと比較するのは目くらましだ。

 原発事故で莫大な人口を抱える首都圏が深刻な汚染に襲われたなどというのは前代未聞だし、健康被害のことを考えたなら、東電や政府は何としても3号機の格納容器内爆発と関東地方の汚染を隠したいに違いない。

 ところで福島第一原発の事故の真相究明はどうなっているのだろう? 田中三彦さんは東電のデータを解析し、1号機では地震そのもので冷却剤喪失事故が起きた可能性が高いとかなり前から主張していた。それはたぶん間違いないだろう。しかし、14日の3号機建屋が大破した爆発や4号機の建屋の爆発については不明なことだらけのままだ。

 岡田さんは爆発から3カ月後にこの記事を書いているのだが、この結論を出したのは3月24日までだという。文系の研究者が爆発後数日でこの結論を出しているのに、1年以上たっても岡田さんの指摘を否定する考察は出されていないのではないか? これこそ不思議なことだ。ここにはやはり隠蔽と情報操作が働いているとしか思えない。

 東電は東北から首都圏までをも汚染するとんでもない大事故を起こし、今でも4号機倒壊などの危険性が指摘されている。東電は所有しているデータをすべて公表し、何が起きたのか明らかにする責任がある。

 政府も、こんな状態で再稼働を持ち出すなど論外だ。

3号機格納容器内爆発について隠蔽を続ける東電と政府(続報)を書きました。



あなたにおススメの記事


同じカテゴリー(原子力発電)の記事画像
巨大噴火の国に生きる日本人
家庭菜園の収穫と原発事故
同じカテゴリー(原子力発電)の記事
 震災から14年に思うこと (2025-03-11 11:19)
 大地震に警戒を (2024-01-04 16:13)
 二つの大罪 (2023-08-24 13:40)
 汚染水を海に流すという犯罪 (2023-08-14 10:21)
 原発事故から10年 (2021-03-11 23:15)
 被ばくによる健康被害を「風評」にしてしまう人たちを信じてよいのか (2019-04-19 09:57)

Posted by 松田まゆみ at 07:14│Comments(2)原子力発電
この記事へのコメント
松田さん、
なるほど、チェルノブイリ事故よりできるだけ小さく見せかけるためにも、20,21日の3号機からの大量放出を隠蔽する必要があったのでしょうね。だんだん怒りがこみ上げてきて、拙ブログでも再び採り上げました。
http://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/39758894.html
Posted by さつき at 2012年05月28日 23:56
さつき様

東電の報告書を見て、この記事の続報を書きました。やはり3号機からの大量放出を隠ぺいしているとしか思えない内容です。

しかも汚染水として放出された量を無視してチェルノブイリと比較しているのは、欺瞞でしかありません。
Posted by 松田まゆみ at 2012年05月29日 17:18
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
3号機格納容器内爆発について隠蔽を続ける東電と政府
    コメント(2)