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鬼蜘蛛の網の片隅から › 自然保護 › サホロスキー場開発問題で言い訳に終始した北海道環境推進課

2012年06月16日

サホロスキー場開発問題で言い訳に終始した北海道環境推進課

 北海道が、サホロスキー場の開発許可を6月5日に出したことは、「ナキウサギ生息地をスキー場にする加森観光の暴挙」に書いた。この許可を受け、14日に北海道自然保護連合、十勝自然保護協会、ナキウサギふぁんくらぶのメンバー5人が北海道庁に出向き、特定開発行為の許可を出した環境推進課の担当者(環境計画担当課長、環境推進課主幹、アセス担当主査、特定開発担当主査)と話し合いを行った。

 今回の面談での自然保護団体の主張は以下の二つ。

1.5月に自然保護団体の行った調査で、スキーコースを計画している北斜面に、このあたりのナキウサギの中核となる生息地があることが明らかになった。サホロ岳の生息地は大雪山系と日高山系のナキウサギ生息地を結ぶ重要な位置にあり、スキー場開発によって重大な影響が懸念される。このことを環境計画担当課長から上層部の責任者および知事に伝えてほしい。それができないのであれば直接合って話をしたいので手配をしてもらいたい。

2.知事がナキウサギの生息地を保全するよう付帯意見を出している。そこで「知事の付帯意見の扱いについて検証したい」としていくつか質問をした。

 今回、米安環境計画課長の話しから明らかになったのは以下の3点。

(1)我々が、情報開示によって入手した資料を検討したところ、環境推進課は平成22年1月から2月にかけ加森観光と何度か面談をしていたことが判明した。その面談において、環境推進課は加森観光に対し「平成4年の知事意見に対応した事業者の考え方及び既に講じた措置を報告書に記載し提出すること」と指導し、加森観光から報告書を受け取っていた。しかし米安課長は前回の我々との話し合いにおいて、「平成4年に事業者(西洋環境開発)に審査意見書(知事の意見)を発出し、手続きは終了している」と繰り返し、「平成22年に知事意見について事業者を指導した」という重要な事実を説明していなかった。これは隠蔽と言われても仕方ないだろう。

(2)平成22年に加森観光は地元住民に説明会を開いた際、十勝自然保護協会のメンバーが加森観光の報告書はナキウサギの生息地に関して虚偽があると指摘した。環境推進課はこの事実を知る機会がありながら、この虚偽記載について加森観光に何ら説明を求めなかった。

(3)「エゾナキウサギについては、事業予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努めること」という知事意見を満たしているかどうかについて、専門家に相談するなどして検討することなく、加森観光が提出した報告書をそのまま容認して特定開発行為の手続きを進めた。加森への指導は報告書の「文言の整理」であった。

 これらのことから、北海道は、加森観光の報告書に偽りがあったことを知っていながら、あるいは知る機会がありながら、それについて検証せず、加森観光の報告内容を吟味もせずに容認して特定開発行為の許可を出したのだ。事業者の報告に問題がないかどうかチェックするのが仕事なのに、チェック機能を果たしていないということが明らかになった。

 担当部署は違うが、加森観光のベア・マウンテンの許認可も信じがたいほど杜撰だった。周囲に張り巡らせた柵に、クマが容易に通りぬけできる大きな空隙があったのに、北海道は許可を出してしまったのだ。道職員がまともに審査していたら、これほどの大穴を見逃すはずがない。こうしたことからも、北海道の許認可がいかに杜撰であるかが分かる。

 以下に今回の話し合いについて感想を述べておきたい。

 米安課長はこちらの質問に的確に答えようとせず、前回も説明したことを繰り返して独演会のごとくしゃべり続けた。長々としゃべることで貴重な面談時間を一人で食い潰したに等しい。しかも、約束面談時間の40分になった途端、ドアが開いて部屋を開ける時間だと催促された。時間ぴったりに通告に来るよう指示していたらしい。我々との話し合い時間をきっちりと決め、直後に同じ会議室を意図的に予約したとしか思えない。会議室を出てから入口で見ていたのだが、たかだか4人ほどが中に入っていったに過ぎない。会議の時間などいくらでも融通できるだろうに、まるで猿芝居だ。

 「今のアセスでは事業者による環境配慮が重視されている」「決められた規則通りにやっているだけ」「罰則規定はない」という言い訳は典型的な責任回避のお役人答弁で、希少な生物の生息地を守ろうという姿勢など微塵も感じられなかった。論点をずらして壊れたテープレコーダーのように延々としゃべり続ける課長を相手に、ようやく確認できたのが上記の3点。最後にはこちらの指摘に対して激昂する始末。

 私たちはさまざまな役所と話し合いを持っているが、こんな無礼な対応をされたことは初めてだ。まるで、自然保護団体にできるだけ話をさせず「時間切れ」に追い込む作戦であるかのようだった。本当のことを追及されるのが、よほど都合が悪いらしい。

【6月23日追記】
 この話し合いについては、以下の十勝自然保護協会のサイトも参照いただきたい。

知事意見を棚上げしサホロ岳スキー場の開発許可を出した北海道


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Posted by 松田まゆみ at 17:23│Comments(2)自然保護
この記事へのコメント
うちに植物専門というふれ込みで道庁リタイア組が来てますがタンポポの細い奴が...等と
言い初めまして見に行くとジシバリでした。 同じキク科ですが明らかに違います。
おまえさんモグリかい?と本気で聞いてしまいました。 
言葉が見つかりません、無能です! 現場が混乱しないように黙って給料貰って
帰って頂いてます、ましな奴をよこせ!と思いますが、方々で聞くところ
ましな人なんて役所にいないんじゃないか... とあきらめています。 こういう人が税金をいかに無駄にしてきたか想像が付きます
Posted by ちぃ at 2012年06月18日 21:18
ちぃ様

タンポポとジシバリの区別のつかない植物専門家ですか!? かなり末期的ですね。

サホロの許可も、ナキウサギのことがわからない担当者が事業者の説明を鵜呑みにして許可を出しているのです。その事業者が嘘つきであると指摘されているのにも関わらず。

「はじめに許可ありき」だったのでしょうね。どうしようもありません。
Posted by 松田まゆみ at 2012年06月20日 11:26
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