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2014年04月22日

PTAを強制するのは憲法違反

 毎日新聞にこんな記事が掲載されている。

PTA:役員決めは罰ゲーム? やらない人はトイレ掃除も

 この記事を読んで「うちの学校も同じ・・・」と苦笑した人が多いのではなかろうか。いつの時代からか知らないが、PTAの役員は公平にみんながやるべきだとか、くじ引きで決めるなどというのが当たり前のようになっているらしい。かくいう私も、かなり無理矢理なやり方で役員にされたことがある。

 子どもが小学校に入学し、はじめてPTA婦人部(この学校のPTAには、母親だけを対象とした「婦人部」が設けられていた)の会合に出たとき、さっそく「みんな一度は経験している人ばかりなので、役員をやりませんか」と新人の私に声がかかった。そして、その時は「くじ引き」を言い出した人がおり、私が見事に当たりくじを引いたと記憶している。その強引な決め方にかなり愕然とした。

 その後、児童数の減少とともに「婦人部」はなくなって、男性主体であったPTA本体に一本化されたのだが、そこでも私は長らく副会長を務めた。やりたくて立候補したわけではない。そもそもPTAに入るか否かも基本的には自由だし、断るという選択肢もあった。しかし、あえて断らずに続けたのは、自分の子どもも参加するPTAの行事などに対してきちんと言うべき意見は言っておかねばならないと思ったからだ。

 児童数の少ない地方の学校では、学校とPTAの共催行事が年に数回ある。たとえば運動会やスキー大会。これらは学校、保育所、PTA、町内会の合同行事だ。また、学校とPTAが主催する全校登山や夏のキャンプなどもあった。子どもがこのような行事に参加する機会がある以上、親としては意見を言う権利や責任がある。

 もう一つ理由がある。私の住む地域では、PTA会員は小学校に子どもが通っている家庭に限定していない。小学生のいない家庭も会員になり、会費を集めていた。いわば善意の会員である。そのような善意で集めた会費が含まれているのだから、会費の使い方も慎重を期すべきだ。しかし、ややもすると役員である一部の保護者だけの意向で、親睦との名目で娯楽の要素の強い行事に使われかねない。もちろん親睦を否定するつもりはないが、小規模校ではとかくPTA行事=親睦=飲食となりかねないのだ。保護者が出した会費でそのような行事をするならまだ分かるが、地域の会員の善意の会費を一部の会員の娯楽的行事に使うのは賛成できない。

 そんな理由から、PTAに入会しないという選択はしなかった。そして、保護者の少ない小規模校ということもあり、かなり長期間にわたって副会長をやってきた。PTAを必要だと思うのなら、誰かが役員をやらねばならない。もちろん、子どもが小学校を卒業したらPTAからは退会した。私は自分の子どもが通わない学校のPTA会員になる意思はない。

 子どもが中学校に入ったときも驚いた。入学式のあと、担任から説明があるので保護者は教室に集まるよう言われた。ところがそれを無視して帰ってしまう人がぞろぞろいる。どうしてなのだろうと不思議に思っていたのだが、あとでその理由が分かった。担任の教師の話しのあとにクラスのPTA役員の選出があったのだ。それを知っていて役員をやりたくない親はさっさと帰ってしまったというわけだ。

 この時も、教室には嫌な雰囲気が充満した。もちろん立候補する人は誰もいない。やがて「○○さんを推薦します」という声が上がり、拍手が起こる。「働いている」「親の介護がある」などという理由がない限り、ほとんど有無を言わさずに決められてしまう。私もそのようにして役員に指名され拍手で決められてしまった。

 本来ならまず入学に際してPTAに入るかどうかの確認をしたり規約を配布すべきだが、そういう手続きはもちろんない。子どもが学校に入れば会員になるのが当たり前という意識がある。そして、役員をやったことがない人に白羽の矢がたつのだ。おかしいとしか言いようがない。

 そもそも組織というのは必要性や意義があるから存在している。必要だと思う人が会員になり、役員を選出して運営をするのは当たり前だ。もちろんさまざまな事情で役員ができない人がいるのも事実で、無理に押し付けるものでもない。理由もなく役員になるのが嫌で逃げ回るのなら、はじめから会員にならないという選択肢だってある。役員のなり手のない組織は、存続できないという状況にほかならない。そんな組織ならば、いっそ解散するという方法もあるだろう。

 任意団体である以上、入会にしても役員にしても、強制などというのは憲法違反であり、子どもが学校に入ると同時にPTA会員にしてしまうのは民主主義のルールに反する。高校や大学では学費と一緒にPTA会費を徴収するところもあるが、どうしてそんなことがまかり通っているのだろう。日本人は、まずそのことに気づくべきだ。


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Posted by 松田まゆみ at 15:21│Comments(0)政治・社会教育
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