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2015年04月11日

日本文学館から自費出版した二人組のトラブル顚末記①

 「某自費出版会社との契約を巡るトラブル顛末記」のブログ主が巻き起こしたトラブルについてはこれまでも何回か取り上げてきたのだが、この度、元文芸社社員のクンちゃんがこのトラブルに関する検証記事を掲載した。

約束のゼニを払わん、というケース(日本文学館の増刷ファイルより)①
約束のゼニを払わん、というケース(日本文学館の増刷ファイルより)②
約束のゼニを払わん、というケース(日本文学館の増刷ファイルより)③
約束のゼニを払わん、というケース(日本文学館の増刷ファイルより)④
約束のゼニを払わん、というケース(日本文学館の増刷ファイルより)⑤

 クンちゃんの記事で新たに分かったこともあり、私も改めてこの問題について経緯や問題点について総括しておきたい。二人にしか分からない部分に関しては推測の部分も多々あるが、大筋で間違いはないと思っている。もし当事者として異議がある場合は、コメントに書き込んでいただけたらと思う。

 まず二人というのは、本の著者であるkum*suk*2*14氏(クンちゃんブログでは雲助)と、kum*suk*2*14氏の代理人として日本文学館と契約をしたzih*s*uppan*氏(クンちゃんブログでは慈悲)のことである。はじめはzih*s*uppan*氏が私のブログにコメントしたり私やクンちゃんにメールで相談をしていたのだが、その後、ブログで騒ぎ始めたことでこの問題が露呈した。

二人の不可解な関係
 著者のkum*suk*2*14氏は自分の書いた原稿を書籍として出版することで作家デビューを目論んでいたようだ。しかし職業上の事情で自分自身が出版契約をすることはできないと判断し、知人であるzih*s*uppan*氏に仮の著者として契約をしてほしいと持ちかけ、zih*s*uppan*はそれを了解した。 【誤り1】

 私はkum*suk*2*14氏から内緒コメントでこのことを知らされたのだが、にわかには信じがたいというのが正直な気持ちだった。なぜなら職務上アルバイトなどを禁じられていても「原発ホワイトアウト」の若杉洌氏のように、ペンネームでの出版は普通に行われているからだ。しかし、クンちゃんが入手した契約書からもzih*s*uppan*氏が日本文学館と契約したことは間違いない。また、クンちゃんの記事によると、kum*suk*2*14氏は自分の本がもし売れてヒットでもすることになった場合のことまで考えていたらしい。すなわちメディアに露出するようなことがあれば、著者の身代りとしてzih*s*uppan*氏が登場することまで頭に入れてのことだったらしい。

 これが二人のはじめの誤りであるが、この「なりすまし」の件についてはクンちゃんが詳しく書いているのでここでは省略する。簡単に説明するなら、契約書には本の著者であるkum*suk*2*14氏の名前もペンネームも一切書かれておらず、zih*s*uppan*氏が著作権者として契約をしたということである。そして費用はzih*s*uppan*氏が立て替え払いをし、後にkum*suk*2*14氏から受け取った。また印税はzih*s*uppan*氏の口座に振り込まれることになっているそうだ。

 ただし、不可解なことに本の奥付にある著作権者の表示はkum*suk*2*14氏のペンネームになっている。だから私はkum*suk*2*14氏が著作権者だとばかり思っていた。しかし、契約書では間違いなくzih*s*uppan*氏が著作権者になっているそうだ。増刷においてもzih*s*uppan*氏が著作権者として自分の意思で契約をしている。ということは契約書の方が正しいといえそうだ。クンちゃんは出版社側の単純ミスではないかと推測しているが、私は「なりすまし」がバレないように恣意的に真の著者のkum*suk*2*14氏のペンネームにしたのではないかと疑っている。

 「なりすまし」という不可解な約束ごとに留まらず、二人とも著作権や出版権に関して知識がないまま悪質な自費出版社と出版契約を結んでしまったこともこの問題をやや複雑にさせている。 【誤り2】

 さらなる誤りは、二人の選んだ出版社である。kum*suk*2*14氏によると、どうやら二人は契約をする前から日本文学館の悪質商法や架空コンテスト問題などについてネットで調べて知っていたそうだ。そういう出版社との契約は避けるのが普通だと思うのだが、不思議なことにそうはしなかった。

 私は文芸社から契約を迫られて迷っている人から相談を受けたら、まず提携書店の棚買い方式のことや本の所有権について説明している。この説明で大半の人は真っ青になり、あわてて契約を断るようだ。クンちゃんに相談しても似たような説明をするのではなかろうか。二人はクンちゃんや私の記事で日本文学館の悪質商法を知ったのだろうが、なぜか二人ともクンちゃんや私に相談をすることはしなかった。 【誤り3】

 kum*suk*2*14氏はいくつかの自費出版社の見積もりをとった上で費用の安かった日本文学館での出版を決めたそうだ。一方、これは私の推測でしかないが、zih*s*uppan*氏はこの時点である企みが頭に浮かんでいたが故に日本文学館での出版に反対をしなかったのではないかと思えてならない。この企みについては後述する。

 そして、初版の230部(300部のうち著者贈呈が50部、出版社取分が20部)は数カ月で売り切れた。ただし、クンちゃんが書いているように出版社が報告する販売部数は実売部数とは限らない。なぜなら提携書店に配本された本(ふつう大半が売れ残る)は出版社が買い戻すために、形式的には売れたことになっているのだ。出版社が買い戻した本は、たいていは断栽処分されてしまうのだろう。

 文芸社から出版して「540部売れた」とか、「480部売れた」などと言って相談してくる人がときどきいる。しかし、第三者の私から見たら無名の素人が書いた本がとてもそんなに売れたとは思えない。つまり、提携書店から買い戻した本は「売れた本」としてカウントされているだろうことは容易に察しがつく。もちろん、こうした買取り費用も著者に請求する出版費用に入っているのだろう。まったく著者を馬鹿にした商法である。

増刷を巡る茶番劇
 さて、二人は日本文学館から初版完売の知らせを受けたが、kum*suk*2*14氏は買い取り条件を知って増刷を断念したという(といってもzih*s*uppan*氏に著作権を譲渡してしまったkum*suk*2*14氏にはそもそも増刷契約をする権利はない)。しかし、著作権者であり本の販売にも尽力してきたzih*s*uppan*氏は、買い取り条件に合意して増刷契約に踏み切ったのだ。この判断には、それなりに売れて買取りをしなくても済むだろうとの思惑が働いたのではないかと思われる。 【誤り4】 ところが、増刷分は思ったようには売れず、出版社の報告によれば約200冊しか売れなかったという。もっともこの200冊というのも実売部数であるかどうかはかなり怪しい。

 契約期限が終了するとzih*s*uppan*氏のところには買い取りの請求がきた。ところがその請求金額は日本文学館のミスで誤ったものだった。誤りに気付いたzih*s*uppan*氏は、このときに恐らく前述した企みを実行する決意をしたのでないかと思える。つまり、こうしたミスをきっかけに日本文学館の悪質商法を利用して圧力をかけ、買い取り費用の大幅な値切りをしようと企んだのではないかと私は疑っている。そこで持ち出したのが、覚え書き(増刷契約)の解釈である。zih*s*uppan*氏が問題としている覚え書きの文言は以下である(ただし、zih*s*uppan*氏はブログで750部を700部と、75%を80%と虚偽の数値を記載していた)。

(残部の買取り)甲は、本件書籍の増刷部数1000部のうち750部について、契約終了時点(平成26年2月28日)で残部があった場合、甲は残部すべてを定価の75%で買い取ることとする。

 私はこの覚え書きを読んで、「750部を上限として売れ残りをすべて買い取る」という意味だとすぐに理解した。たいていの人がそう解釈するのではなかろうか。しかし、zih*s*uppan*氏はブログで「700部から販売部数を差し引いた部数を買い取る」と解釈して契約したのであり、自分の解釈こそが正しいのだと主張して買い取りの拒否をし始めたのだ。まあ、そういう解釈もできないことはないが、それはかなり無理がある解釈だと思う。その後(今年に入ってからだが)kum*suk*2*14氏は私に、実はzih*s*uppan*氏は出版社の買取り条件(出版社の解釈)を理解していたのに、いざ買取りをする段階になって違う解釈を持ち出してゴネはじめたのだと私に告白した。なるほど、それが事実ならその後の不可解な対応も納得できる。

 こうしてzih*s*uppan*氏は増刷契約についてブログで書き始めたのであるが、私はトラブルになっていることをブログに書くというやり方は基本的に賛同できない。文芸社(=日本文学館)の場合、裁判になっても勝てるように契約書に工夫を凝らしているのであり、出版社を訴えても著作権者が勝訴するのは困難だ。従って、トラブルになった場合は和解に持ち込む方が得策である。そして和解で有利な条件を勝ち取りたいならそのやりとりは公開するべきではない。ただし、zih*s*uppan*氏には思惑があったからこそブログで公開することにしたのだと私は考えている。 【誤り5】

 ゴネはじめたzih*s*uppan*氏に対し、日本文学館は会社の生産性を理由にzih*s*uppan*氏の解釈による買取り部数を認めてこの問題の決着を図った。当然の対処だろうし、普通の人ならここで和解する。ところがそれでは思惑が達成できないzih*s*uppan*氏は、「(zih*s*uppan*氏の)主張を覆るに足る根拠がある」という日本文学館の言葉尻を捉え、その根拠の開示を求めて買取り拒否を続けるという愚策に出た。 【誤り6】

②につづく


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Posted by 松田まゆみ at 12:00│Comments(0)共同出版・自費出版
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