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2009年09月25日

無惨な「カミポットくん」植樹地

 昨日の記事「カミネッコンへの疑問」の続きです。

 2002年のことです。上川町の浮島湿原に出かけたのですが、湿原への歩道の脇に踏みあと道があるのに気づきました。入ってみると林野庁の「パブリックの森」という看板があり、標識には「カミポットくん植樹」「北の森21運動緑の募金 記念植樹」と書かれていますので、募金を利用した植樹地のようです。「カミポットくん」というのは、「カミネッコン」と同じダンボールでつくった紙ポットです。このあたりは過去の伐採のためか樹木がなくてチシマザサが生い茂っているのですが、その一部を掻き起こして紙ポット苗による植樹をしたのです。標識によると2000年に植樹をしたようです。

 植樹地を見渡すとアカエゾマツとミズナラが植えられた紙ポットが三つ一組で置かれているのですが、かなりの苗が枯れていました。数えてみるとアカエゾマツは33本中24本、ミズナラは35本中8本が枯死しています。それに、枯死はしていないものの、死にかけているミズナラが8本。両種合わせた死亡率は48.5パーセントですから、たった2年で苗のおよそ半分が枯れてしまったのです。こんなに枯れてしまったというのは、やはり地面に紙ポットを置くという手法に問題がありそうです。この方法では根が地上に露出しやすくなりますし、開けた場所で地上に置かれただけのポットは乾燥しやすいでしょう。

 5年後の2007年に同じところに行くと、植樹地の大半はダケカンバの幼木が茂っていました。周囲の森林から飛来した種子が一斉に発芽したのです。ダケカンバに覆われていないところがわずかにありましたが、生き残っている苗の大半は元気がありません。写真はかろうじてアカエゾマツとミズナラの両方が生き残っている寄せ植えです。

無惨な「カミポットくん」植樹地


無惨な「カミポットくん」植樹地


無惨な「カミポットくん」植樹地


 それから2年たった先日、同じところに行ってみると、ダケカンバはさらに生長して植樹地を覆っていました。ダケカンバに覆われていないところも写真のような状況です。生き残っている苗も生長の良いものはほとんどなく、なんとか生きているという状況でした。写真のミズナラの苗は、たぶん枯れてしまうでしょう。

無惨な「カミポットくん」植樹地


無惨な「カミポットくん」植樹地


無惨な「カミポットくん」植樹地


 林野庁は紙ポット植樹によってアカエゾマツとミズナラの混交林をつくろうとしたと思われますが、多くの苗が枯死するか衰弱し、ダケカンバが生い茂ってしまったというわけです。アカエゾマツは条件の悪いところでも我慢強く耐えることができる樹種ですので、わずかに生き残ったアカエゾマツはダケカンバの下でも生きていけるかもしれませんが、長寿のダケカンバの下では旺盛な生育は望めそうにありません。ミズナラは、すでに息絶え絶えの状況ですから、生き残ることは困難でしょう。ダケカンバ林にするなら掻き起こしだけで十分であり、植樹をした意味はほとんどありません。

 もうひとつの問題は、苗木の樹種です。浮島湿原の周辺はアカエゾマツが主体ですが、この植樹が行われたあたりはエゾマツが優占する森林です。また、ここにはミズナラはほとんど生育していません。つまり、元の森林を復元することを視野に入れた植樹ではないということです。植えた苗は、どこで採った種子を用いたものなのかも不明です。エゾマツの苗木はほとんど出回っていませんから、ここにエゾマツの森を復元するのなら、周辺の森から幼木を移植するしかないでしょう。幼木を植えてもそのまま放置したのではササに覆われて枯れてしまいますから、ササ刈りなどの手入れも欠かせません。

 これは紙ポット植樹の一例ですが、「カミネッコン」「カミポットくん」の問題点が浮き彫りになった事例ではないでしょうか。植樹のための募金活動があちこちで行われているようですが、こんな状態では何のために植樹をしたのかわかりません。せっかくの募金がこのような無惨な結果にならないよう、植樹方法を改善してもらいたいものです。


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Posted by 松田まゆみ at 15:12│Comments(3)森林問題
この記事へのコメント
松田さんこんばんは。
私もカミネッコンは本当に有効なのか考えておりましたし、カミネッコンを使わなかった植樹に参加して1年半後にその様子を見た経験があったので、とても共感しました。

木の種類は詳しく分かりませんし、松田さんのようにしっかり調べる事はできませんでしたが、私の植樹したところもやはり見た所半数くらいが枯れていたり、とても曲がっていたりと、2年後、3年後にどれだけ残っているのか頼りないものばかりでした。
苗木も3年位育てたものを使っていたのに、その後の手入れがなければこのような状態になってしまうのですね。

やはり木を育てる、森を作る専門の人間がいなければダメなんでしょうね。
営林署というものはすでになくなってしまったんでしたっけ?
私の子どもの頃に苗木をずらーっと育てていた所があったのを思い出しました。今はどこの部署が森の管理をしているのでしょうね。
Posted by BEM at 2009年09月26日 23:53
BEM様

苗を植えても、ササや丈の高い植物に覆われてしまうと育ちません。ですから手入れは欠かせないのです。また、苗も健全なものだけではありません。徒長苗のようなものが交じっていたり、根を切りすぎたものなどは生育が芳しくなく、枯れてしまうものもあります。植える時期も適期があります。あちこちで植樹が行われていますが、こういうことをきちんと理解してやらなければ、無駄なことになりかねませんね。

ちなみにカミネッコンは一つ150円ほどするそうで、それを買うために寄付を募っているところもあるようですが、見直してほしいと思います。

国有林は、かつては営林署が管理していましたが、今では森林管理署に名称が変わりました。お金になるような木を伐りつくしてしまい、組織を縮小して名称も変えたのです。北海道の各地の森林管理署を統括しているのが、北海道森林管理局です。彼らは木を伐ることは得意のようですが、育てることに関しては不得手のようですね。かつては自前で種を採取して苗を育てていたこともあるのですが、今では業者委託です。木の育て方を知らないのでしょう。
Posted by 松田まゆみ at 2009年09月27日 16:58
なるほど、大変勉強になります。
ありがとうございます。
カミネッコンは150円ですか。
そんなものを買わなくても一人が一本、大事に苗を育てるのもいいんじゃないかと、数年前に庭に埋めたドングリがもう1mを超してしまいました。
こっそり内緒で学校の片隅にでも植えようかと思っています(笑)
Posted by BEM at 2009年09月28日 00:22
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