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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 東電の工程表に対する小出裕章さんの見解

2011年04月19日

東電の工程表に対する小出裕章さんの見解

 昨日の小出裕章さんが「たねまきジャーナル」のインタビューで、東京電力の示した収束にむけた工程表について意見を述べている。

東電の工程表について1/2 

東電の工程表について2/2 

 小出さんの話をかいつまんで紹介すると以下のような内容だ。

 工程表のようにはできないと思う。これまでも東電の見通しは甘かった。普通の人は一年間で1ミリシーベルトというのが基準。自分のような特殊な人でも一年で20ミリシーベルトが上限だ。事故現場ではこれまでの1年間に100ミリシーベルトという基準も守れず250ミリシーベルトに上限をあげた。建屋で毎時57シーベルトという放射線量は、4時間半で限度を超える。何千人という作業員が必要になるのではないか。

 前日に1号機の建屋の外、ロボットが計測した場所から40メートルも離れたところで毎時270ミリシーベルトだったが、ロボットは最大の値を測っていないのではないだろうか。ロボットでは正確な測定ができないと思う。

 甘い測定値をもとに作業をしたなら、作業員に過度の負担をかけるか、作業の日数が延びるかのどちらかだろう。

 格納容器が壊れているので、水棺は到底できない。もともとできないことを言っている。2号機は格納容器の一番低い部分が壊れている。その部分を補修しなければ漏れてしまう。しかし、放射線量が高くて作業できないと思う。水をかけて待つしかない。

 水棺方式ができないので、工程表の大前提が成り立たない。東電がやろうとしていることは、私が提案していた循環方式ということだろう。しかし、作業現場の汚染水すら排出できない。原子炉に水を入れる限り溢れて作業現場が汚れ続け、循環するループがつくれない。あらかじめ組み立てておいて後で取り付けるという方法でも、最後に原子炉に取り付ける作業が簡単にはできないと思う。

 一号機の格納容器への窒素注入は一週間の予定だったが10日もやっている。内圧が上がらないのでどんどん漏れている。窒素を入れ続ける必要があるのなら2号機、3号機にも入れなければならない。窒素の注入は馬鹿げたことだと思う。

 政府はこれまでずっと甘い予測をしてきた。住民の人にも現実がものすごく厳しいということを伝えなければならない。(小出さんの話はここまで)

 水棺方式については、私が昨日の記事「不可解な水棺」で書いたこととほぼ同じ意見だ。できもしない水棺を前提に工程表をつくること自体が腹立たしい。会見に出ていた記者は突っ込まなかったのだろうか? 昨日のニュースではロボットによる放射線量の数値を発表していたが、どうやら実際の放射線量はそんなものではないようだ。ロボットで計測しなければならないのだから、建屋の中は人が近づけないような値なのではなかろうか。

 これほどにまで厳しい状況であるのに隠し続ける東電と政府、そしてマスコミ。その罪は限りなく大きい。


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Posted by 松田まゆみ at 10:44│Comments(0)原子力発電
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