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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 原子力発電 › 福島原発事故ではいろいろな専門家の意見を聞くべき

2011年05月18日

福島原発事故ではいろいろな専門家の意見を聞くべき


 昨日は原子力資料情報室のライブ放送で、後藤政志さんによる原子炉に関する解説を聞いた。格納容器の設計をされていた後藤さんは、原子炉の最後の砦である格納容器が壊れて気密性を失っているということだけでもとんでもない事態だという。後藤さんの話をごく簡単に要約すると以下のような内容だ。

 3基もの原子炉でメルトダウンの状況にあるが、溶融した燃料がどこにあるのか分からない。圧力容器の底が抜けて格納容器に落ちている可能性が高い。現在は1号機から3号機すべてで、注入した水が全部格納容器の外に漏れている状態である。もし不安定な状態になったら大量に放射性物質が外に出て、大気、海、地下水を汚染する。工程表などという以前に、この垂れ流し状態をどうするのかということが大事だ。政府は閉じ込め機能について甘く見過ぎている。

 燃料が格納容器の底に落ち、格納容器を突きぬけてメルトスルーといわれる状態になっていることもありえる。下のコンクリートに到達すると、コア・コンクリート反応を起こし、底を破って外に出る可能性もある。3号機は温度が上がっており安定していない。水素爆発、水蒸気爆発、再臨界なども可能性として否定できない。万一水蒸気爆発が起こったら、水素爆発の比ではなく大変な被害になる。何が起こるかわからない。ホウ酸を入れているのは再臨界を防ぐため。万一再臨界が起きたら大変なことになる。そういうことにならないよう願うしかない。今はコントロールできておらず手探り状態だ。もし大量の放射性物質が放出される事態になれば、首都圏も危ないかもしれない。燃料が冷却できていると言えるのか懸念している。3基もの原発がメルトダウンして閉じ込め機能を失っている事態は、気が狂うような状況だ。

 なお、以下の「やじうまテレビ」で後藤さんが簡潔に説明している。

元原子炉設計者 福島原発のメルトスルーを示唆


 3基のメルトダウンについて、小出裕章さんのご意見は以下。

5/17火 2号機・3号機もメルトダウン?!-未知の世界




 小出さんは、再臨界の可能性はきわめて低いという見解のようだ。私は東電がいちどクロル38を検出したと発表し、後に誤りだといって取り消したことに関しては、誤りだとする方が不自然であり、やはり一時的に小さな再臨界が生じていたのではないかと思っている。だから、再臨界の可能性はあるのではないかと思う。とにかく、こうした事故は初めてこことであり、後藤さんの言われるように何が起こるのか分からないというのが実態だろう。

 このような状況になってくると、被ばくを最小限に抑えることを考えておく必要がある。これについては、安斎育郎氏による解説が以下に紹介されている。

安斎育郎:外部、内部被爆を最小限に抑える方法(Peace Philosophy Centre)

 さて、ここでちょっと気になったのが、安斎さんが以下の記述だ。

「ただし、放射線のレベルが相対的に高いこれらの地域に、日々新たに原発から高濃度の放射性物質が降り注いでいるということではなく、事故直後に起きた爆発によって周囲にばらまかれた放射性物質が地表面に降り積もり、そこからガンマ線が放出され続けていることが主要な原因です」

 実は、私も昨日までは放射線物質は爆発によって遠方まで飛散するのであり、爆発事象がなければ遠方への拡散はそれほど心配がないと思っていた。しかし、必ずしも爆発事象がなくても遠方にまで風で運ばれる可能性があることを知り、昨日の記事「現在進行形の放射能汚染」で書いた。これについて、木下黄太さんが火山学者の早川由紀夫さんのご意見を紹介している。

 「東日本のこれからのリスクをどう考えるのか」火山学者、早川由紀夫教授との対話

 おそらく、原発問題に関わっている人の多くが、爆発事象がなければ放射性物質が遠方にまで飛散しないと考えていたのではなかろうか。しかし、早川さんの意見に耳を傾けるなら、認識を新たにしなければならないだろう。放射性物質の拡散のポイントは地上10メートルくらいの風で決まっている可能性が高い。高濃度の放射性物質の拡散が地表近くの風で説明がつくということであれば、爆発したかどうかはあまり関係がないことになる。これから夏に向かって南から北への風が吹くことも多いし、台風の季節になる。北海道も汚染される可能性がある。なお、早川由紀夫さんはご自身のブログでチェルノブイリと福島の放射線量を比較されて図にしている。以下、ご参考まで。

フクシマとチェルノブイリの比較

 後藤さんが懸念されるように、もし再臨界とか水蒸気爆発などが起こり大量の放射性物質が放出されることになれば、放射能汚染はどんどん深刻になっていく。あまり危機感や不安を煽るようなことは言いたくはないが、今回の事故はそれだけ深刻だということを認識すべきだろう。

 世界でも初めての大惨事であり、専門家とて分からないことが多いし人によって意見もやや異なる。いろいろな専門家の意見を聞き、総合的に判断する能力が求められると思う。


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