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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 工程表ステップ1の目標達成という欺瞞

2011年07月21日

工程表ステップ1の目標達成という欺瞞

 政府と東電は19日に「ステップ1」の目標をほぼ達成したと発表した。しかし、以下の記事の表を見ていただきたい。

クローズアップ2011:原発工程表見直し(その1)ステップ2、課題山積(毎日新聞)

 掲げられた12項目のうち、「おおむね達成」はたったの2つ。「実施中または課題あり」が8つ、未着手が2つ。こんな状況で「目標をほぼ達成」とは恐れ入る。「目標達成」が実態とはかけ離れているということは誰もが感じるだろう。

 当初から目指していた「原子炉の冷温停止」は工程表ではいったいどうなっていたんだっけ? 冷温停止とは冷却剤の温度を100度以下にすることだったのではないか? 循環式冷却システムをつくることとは別だ。しかも、循環式の冷却システムは故障続き。3機とも燃料はメルトダウンし、燃料はどこにあるのかも分からないのだが、それをどうやって安定的に冷却するのか、どうやって放射性物質の放出を抑えるのかが問題なのだ。

 「目標をほぼ達成」とはどういうことかと思っていたら、木野龍逸さんが詳しく説明していた。

工程表が信じられないのは、情報開示が不十分だからだと思う件(キノリュウが行く)

 溶融した燃料はすでに圧力容器の底に穴をあけて、格納容器に落ちている可能性が高い。ところが、圧力容器の底の温度が100度以下になっていることを「冷温停止」の定義にしたそうだ。こんな子どもにでもわかる「無意味な定義」を出してくるとは呆れ果てる。そもそも、燃料は格納容器から外に出てしまっている可能性もある。もちろん、壊れた格納容器を補修するなんてことは不可能だろう。

 木野さんも指摘しているが、もはや「冷やす」「閉じ込める」ということがクリアできない状態なのだと思う。ならば、はっきりとそう言ったうえで工程表を考えねばならないのに、「できない」とは決して言わない。こういう姿勢が問題なのだ。

 放射線物質の放出量は毎時10億ベクレルと試算しているそうだが、これもどれほど信頼できる数値か分からない。

 半減期の短い放射性ヨウ素が、東京都の下水道局で最近でも検出されているという。大気の汚染は続いていて、いつ収束するのかまったく見通しが立たない。こんな状態で、ステップ2では「警戒区域」や「計画的避難区域」の解除の検討を始めるというのだから、信じがたい。

http://twitter.com/#!/makiko_iizuka/status/93182467560833026

 19日には3号機で白煙が上がり発光現象も見られたそうだ。

http://www.youtube.com/user/fuku1live#p/u/2/nM0s5taJWSE

 現場では一体何が起きていて、どのくらいの放射性物質が放出されているのだろう? こういうことに東電や政府がきちんと答えないで、「絵に描いた餅」のような工程表を提示されても、誰も信じないだろう。
   


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Posted by 松田まゆみ at 16:14│Comments(0)原子力発電
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