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鬼蜘蛛の網の片隅から › 生物学 › 種名を知るということ

2022年06月11日

種名を知るということ

 散歩に出ると、いろいろな動植物が目に付く季節になった。子どもの頃から昆虫が好きだった私は、さまざまな虫に出会うたびに種名を知りたくなる。2年ほど前から散歩がてらに昆虫写真を撮るようになってからは、なおさら撮った昆虫の種名が気になって、家に帰ってからはまずその日に見かけた種名の分からない昆虫の名前を調べるようになった。

 かつて(今は知らないが)、日本自然保護協会は、種名だけを教えてもらって満足してしまう人を諫めるためか、種名を知ることより自分自身で観察をすることを勧めていた。しかし、私はそれにずっと違和感を持っていた。もちろん、種名など知らなくてもいろいろな動植物を観るだけで満足という人もいるだろうし、そういう人はそれでいい。しかし、多くの人は自然に興味を持てば動植物の種名を知りたがる。

 これは子どもにも言えることで、多くの子どもは物心がつくと「これ何?」と親に尋ねるようになる。子どもも動物や植物の名前を知りたがるのだ。そして、そんな時の親の対応によって、虫を好きになったり嫌いになったりが決まることも多いのだろう。

 人はなぜ種名を知りたがるのか? まず、種名を知ることでその生物が特定でき、他人にもその生物のことを伝えることができる。また、種名を知ることによってその生物について様々な情報を得ることができる。観察をするにしても、種名が分からなければその種について何が分かっており、何が分かっていないのかを調べることもできない。種名を知ることで、その生物がどのようなグループに属しているかも分かる。「種名を知る」というのは、生物に興味を持つことの基本なのだと思う。その基本を無視して「種名を知ることより観察の方が大事」というのは、どうしても賛同できない。

 そんなわけで、写真に収めた動植物は、画像とメモ(体長や環境など)を頼りにできるだけ種名を調べることにしている。ただ、昆虫の場合は外見が似ている種が複数あって写真だけでは同定できないことも少なくない。同定が難しそうだと思った時は、クモの採集用に持ち歩いている小さな管ビンに入れて持ち帰ることもある。もちろん、持ち帰っても同定できないことは多い。

 これまで2年ほど、見かけた昆虫の写真を撮っているが、なかなか種名を覚えることができない。昨年撮影しているにも関わらず、また同じ虫の写真を撮って種名を調べることなど日常茶飯事。さらに、まだまだ初めてみる昆虫に出くわす。

 私はもともと写真の趣味はないし、芸術的な写真を撮ろうという意欲もないけれど、昆虫やクモがいないかと目を凝らし、愛らしい虫たちの写真を撮ることで散歩がぐっと楽しくなったのは間違いない。人間社会は嫌なニュースばかりだが、外に出て新鮮な空気を吸い、自然の中で生き生きと動き回る生き物たちを見ることは、心身のリフレッシュにもなる。

 ということで、今後も昆虫やクモの紹介を続けていきたいと思っている。


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Posted by 松田まゆみ at 21:31│Comments(4)生物学
この記事へのコメント
初めまして!
先程部屋にでかい蜘蛛が出て、検索して辿り着きました。
数年前のオニグモの記事2つ読みました。
身体に寄生するハエ…みたいな内容の記事です。
ギョエー!と思ったものの、スッキリしました笑。

小さい頃は「新種見つけて自分の名前をつけるぞ!」って気持ちで虫探しに没頭していたんですが、年を取るにつれて苦手度が増して…
細かいつくりの虫ほどダメになりました。

昔は興味や知識を増やしたくて虫を調べていたのに
今では「敵を知らなきゃ闘えん!」という感じで調べています。

でかい蜘蛛と言えば、20年ほど前に道路で見た蜘蛛と
4年前に部屋に出たでかい蜘蛛、写真見ながら調べてもまだ名前が分かりません…。
鮮明じゃないものの、色味や姿形はわかるのに…。
ちなみに小樽です。

まゆみさんの写真はすごくキレイで鮮明ですね。
写真に興味無いのになんでこんな接写でキレイに撮れるのか…
しかも小さい虫は素早いし…
私は動植物は大好きなので、羨ましいです。
Posted by mana at 2022年08月02日 00:22
manaさん、コメントありがとうございました。

私も子どもの頃から虫が大好きでしたが、虫→野鳥→クモと興味対象が変わっていきました。そして、また虫に戻ってきています(笑)。

歳とともに種名が覚えられなくなっていますが、昆虫はあまりに種数が多いのでそれも仕方ないかなと思っています。それでも何回も写真に撮り、何回も調べていると、少しは覚えられます。

昆虫写真を撮るようになったきっかけは、オリンパスのTG-6という超接写ができるカメラを購入したことが大きいのですが、今年はさらにフラッシュディフュ―ザーというアクセサリーを購入したため、暗いところや動いている虫も撮りやすくなりました。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2022年08月02日 12:04
鳥は私もずっと好きですが、何故虫に戻るのやら!笑
是非まゆみさんが新種の虫見つけて名前付けて欲しいです。
いつかまゆみさんの虫写真集も出版してほしいですよ。

カメラも写真も疎いのですが、オリンパスのそれも調べてみます!
フラッシュディフューザーとやらも初耳で…今から調べてみます。
オニグモ2記事+トップから2ページしかまだ読ませてもらってないので、これからまだまだ過去のもこの先も読ませていただきます♪
ありがとうです。
Posted by mana at 2022年08月02日 23:35
manaさん

私も鳥やクモへの興味は変わらないのですが、それにしばらく眠っていたへの昆虫への興味が再び加わったという感じです。結局、生き物が好きなんでしょうね。初めて見る生き物に出会ったときはとてもワクワクしますから。そして、昆虫は種類が多いので、毎日のようにワクワクです(笑)。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2022年08月04日 13:11
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