鬼蜘蛛の網の片隅から › 河川・ダム › 八ッ場ダムのヒ素問題
2009年09月05日
八ッ場ダムのヒ素問題
八ッ場ダムの場合、自然環境の破壊、利水や治水の不要性、堆砂、ダム堤体の地質、川原湯温泉の水没などの問題のほかに、忘れてはならない重要なこととして鉱毒問題があります。鉱山から排出されているヒ素問題について、2008年12月12日号の週刊金曜日で、ジャーナリストの高杉晋吾氏が「二五億人分の致死量のヒ素が水源に」と題して取り上げています。
吾妻川は酸性河川のために、鉄が溶けコンクリートが腐食するとして中和工場をつくり、品木ダム(八ッ場ダムより上流の吾妻川の支流にあるダム)に中和生成物を堆積させるシステムを造りました。高杉氏によると、この中和システムの源流にある万代鉱という閉鎖された硫黄鉱山からヒ素が排出されており、この10年間で500トン、致死量にして25億人分のヒ素が堆積し、これからも溜まる一方だといいます。この堆積するヒ素を流域内の山野に埋め立て処分しているのですが、国土交通省は処分場をこれ以上つくれないと表明しているそうです。となると、行き場を失ったヒ素入りの中和生成物がどうなるのかということです。そのまま品木ダムに溜まるしかないでしょう。
今でも中和システムの品木ダム下流の吾妻川に、毎年3トンのヒ素が流出しているという報告があるそうです。八ッ場ダムができてこの水が飲料水に利用されたなら、下流住民はこのような水を飲まされる危険性があります。
さらに、東京電力が吾妻川の酸性水のほとんどを発電に利用しているとのこと。発電に使った水を吾妻川に戻さず、道水管を利用して10箇所ある発電所に次々と送っているために、吾妻川本流は弱酸性化または中和化されているが、ダムができて東京電力が導水管から吾妻川に水を戻せば、吾妻川本流は強酸性河川になってしまうのだそうです。とすると、八ッ場ダムは酸性水にさらされることになります。支流にある品木ダムの中和システムは意味をなさないことになるのです。
八ッ場ダムは、酸性水によるダムの崩壊の危険性、ヒ素の流出の危険性という、大変な問題を抱えたダムであるということです。こんな恐ろしいダムは、何としてでも中止させなければならないでしょう。
この中和問題については、「死の川だった吾妻川」にも4回に分けて触れられています。
吾妻川は酸性河川のために、鉄が溶けコンクリートが腐食するとして中和工場をつくり、品木ダム(八ッ場ダムより上流の吾妻川の支流にあるダム)に中和生成物を堆積させるシステムを造りました。高杉氏によると、この中和システムの源流にある万代鉱という閉鎖された硫黄鉱山からヒ素が排出されており、この10年間で500トン、致死量にして25億人分のヒ素が堆積し、これからも溜まる一方だといいます。この堆積するヒ素を流域内の山野に埋め立て処分しているのですが、国土交通省は処分場をこれ以上つくれないと表明しているそうです。となると、行き場を失ったヒ素入りの中和生成物がどうなるのかということです。そのまま品木ダムに溜まるしかないでしょう。
今でも中和システムの品木ダム下流の吾妻川に、毎年3トンのヒ素が流出しているという報告があるそうです。八ッ場ダムができてこの水が飲料水に利用されたなら、下流住民はこのような水を飲まされる危険性があります。
さらに、東京電力が吾妻川の酸性水のほとんどを発電に利用しているとのこと。発電に使った水を吾妻川に戻さず、道水管を利用して10箇所ある発電所に次々と送っているために、吾妻川本流は弱酸性化または中和化されているが、ダムができて東京電力が導水管から吾妻川に水を戻せば、吾妻川本流は強酸性河川になってしまうのだそうです。とすると、八ッ場ダムは酸性水にさらされることになります。支流にある品木ダムの中和システムは意味をなさないことになるのです。
八ッ場ダムは、酸性水によるダムの崩壊の危険性、ヒ素の流出の危険性という、大変な問題を抱えたダムであるということです。こんな恐ろしいダムは、何としてでも中止させなければならないでしょう。
この中和問題については、「死の川だった吾妻川」にも4回に分けて触れられています。
十勝川水系河川整備計画[変更](原案)への意見書
ダムで壊される戸蔦別川
集中豪雨による人的被害は防げる
札内川「礫河原」再生事業を受け売りで正当化する報道への疑問
異常気象で危険が増大している首都圏
居辺川の現状(その2)
ダムで壊される戸蔦別川
集中豪雨による人的被害は防げる
札内川「礫河原」再生事業を受け売りで正当化する報道への疑問
異常気象で危険が増大している首都圏
居辺川の現状(その2)
Posted by 松田まゆみ at 16:31│Comments(7)
│河川・ダム
この記事へのコメント
こんばんは、これは強酸の循環を造り出すだけの代物としか思えませんね。 本来封じ込めるべきものを掘り起こして広げるなんて逆の
ことを推し進めている。 これは絶対に造らせてはいけません。
強行してここまで投入したのが大間違いです!!
損益が出てもやめるべきです。 損益は国が補償して、補償分の穴埋めは関係した政治家に延々と責任をとらせるべきです。 造る責任、失敗の責任、強行した責任なくして血税を投入させないようシステムを
造っていただきい。
ことを推し進めている。 これは絶対に造らせてはいけません。
強行してここまで投入したのが大間違いです!!
損益が出てもやめるべきです。 損益は国が補償して、補償分の穴埋めは関係した政治家に延々と責任をとらせるべきです。 造る責任、失敗の責任、強行した責任なくして血税を投入させないようシステムを
造っていただきい。
Posted by こるとれーんtone at 2009年09月06日 23:30
こるとれーんtone様
八ッ場ダムは酸性水やヒ素のことを考えると、相当恐ろしいものです。こんなダムは絶対につくらせてはならないと思います。
八ッ場ダムは酸性水やヒ素のことを考えると、相当恐ろしいものです。こんなダムは絶対につくらせてはならないと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年09月07日 13:05
八ッ場ダム・・・。
酸性水と、ヒ素。知りませんでした。報道を見た限りでは
この話題には触れていなかったと思います。(私だけかも
・・ですが^^;)地元の建設業者や地元有力者、議員が
諸手を上げて賛成する意図が分かりません。ここに住んで
いる住民の健康被害を何と考えているのでしょうか・・・。
ほとほと情けなくなりますね。
酸性水と、ヒ素。知りませんでした。報道を見た限りでは
この話題には触れていなかったと思います。(私だけかも
・・ですが^^;)地元の建設業者や地元有力者、議員が
諸手を上げて賛成する意図が分かりません。ここに住んで
いる住民の健康被害を何と考えているのでしょうか・・・。
ほとほと情けなくなりますね。
Posted by 北の旅烏 at 2009年09月07日 16:32
北の旅鳥様
マスコミはこの酸性水とヒ素問題については、あまり目立った報道はしていないのでしょう。それほど広く知られていないことだと思います。ヒ素入りの水といっても健康被害がすぐに表面化するわけではないでしょうし、建設を推進する人たちにとっては直接関係ないということなんでしょうかね。無責任きわまりないと思います。
マスコミはこの酸性水とヒ素問題については、あまり目立った報道はしていないのでしょう。それほど広く知られていないことだと思います。ヒ素入りの水といっても健康被害がすぐに表面化するわけではないでしょうし、建設を推進する人たちにとっては直接関係ないということなんでしょうかね。無責任きわまりないと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年09月07日 22:08
かつてアメリカが大恐慌を克服するために実施されたテネシー渓谷開発計画で造られたダムの数々すらも現代では取り壊されるというのに日本ではダムを造り続けるというのは時代錯誤の極みと思います。水余りと今後の人口減少の時代に利水の意義は失われており、治水の面でもダム完成後の湖岸の地すべり発生が懸念されていますが、その対策に国土交通省の姿勢では不十分であることが指摘されています。さらには死火山とされていた木曽御岳が30年前に噴火して周辺に多大な被害が発生したことがありますが、王滝ダム湛水の重力効果という説が有力です。八場ダムの場合は白根火山など周辺の火山に同様の事態が起きるおそれがあります。報道では地元がこぞってダム建設中止に反対の態度と伝えていますが、反対を貫いている方の意見が十分に反映されていないことは片手おちに過ぎるでしょう。歴史ある温泉地が水没すること自体による観光資源の喪失と、今後の観光収入の損失ははかりしれません。せっかく作りかけたものが無駄になるという目先の問題にとらわれる必要はありません。作らないためには新たな補償問題も避けて通れないことですが、授業料として理解すべきことでしょう。
Posted by 中筋敏明 at 2009年09月12日 16:12
中筋敏明様
おっしゃる通り、欧米では新規のダムはつくらず撤去へと移行しているのに、日本は信じられないほど遅れています。利水も治水もほとんど意味がなくなっているのに、本体着工に向けて周辺工事だけが一人歩きしています。
火山噴火のことも気になりますね。ダム上流にある火山が噴火して土石流が発生し、それがダムに一気に流れ込むなどしたら、ダムが決壊する恐れもありうるのではないでしょうか。
おっしゃる通り、欧米では新規のダムはつくらず撤去へと移行しているのに、日本は信じられないほど遅れています。利水も治水もほとんど意味がなくなっているのに、本体着工に向けて周辺工事だけが一人歩きしています。
火山噴火のことも気になりますね。ダム上流にある火山が噴火して土石流が発生し、それがダムに一気に流れ込むなどしたら、ダムが決壊する恐れもありうるのではないでしょうか。
Posted by 松田まゆみ at 2009年09月12日 17:19
民主党はなぜ砒素の問題を言わないのですか。
Posted by 在日民主党 at 2009年09月19日 20:05
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。