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鬼蜘蛛の網の片隅から › 共同出版・自費出版 › 文芸社の著者負担金の矛盾

2010年04月19日

文芸社の著者負担金の矛盾

 文芸社のホームページは時々閲覧していますが、つい先日チェックしたところ「売上還元タイプ」の説明ページが変わっていることに気付きました。いつの間にか、今まで掲載されていた「印税タイプ」と「売上還元タイプ」の違いを示した表が消えているのです。

 文芸社は「印税タイプ」と「売上還元タイプ」の二つの出版形態を掲げているのですが、その違いが一目でわかるように示した表です。この表がいつ消えたのか定かではありませんが、たしか今月の上旬は掲載されていました。表には以下のような違いが書かれていました。

 「印税タイプ」:書籍所有権・書籍データ所有権が文芸社。著者の取り寄せは「本体価格の75%で買い求め」。出版委託金は著者負担。販売委託金・倉庫使用料・増刷費用は文芸社負担。著者には印税(初版2%、2刷6%、3刷以降8%)を支払う。(筆者注:委託契約ではないのに、「出版委託金」「販売委託金」という表現は著者を錯誤させる)

 「売上還元タイプ」:書籍所有権・書籍データ所有権は著者。書籍の取り寄せは「送料のみ負担」、出版委託金・販売委託金・倉庫使用料(2年目から)、増刷費用が著作者負担で、書籍売上の60パーセントを著者に支払う。

 「印税タイプ」というのは商業出版の契約書をベースにした出版権設定契約です。出版社が本の売上金を得るので、出版社の出版事業に著者が出資協力するという出版形態です。「売上還元タイプ」というのは著者がすべての費用を負担し、本の売上金を得るのですから、いわゆる自費出版であり「著者の出版事業」という位置づけになります。契約形態が基本的に異なっているために費用の意味合いも異なりますから、著者負担金を並べて比較すること自体が不適切です。とはいっても、「印税タイプ」は文芸社と著者が共同で出資することを明記しているという点で意味のある表でした。

 ところで、文芸社はこれまでもしばしば契約書を書き変えています。私が契約した2001年は契約書に費用の分担が明記されており、著者の負担金は「制作費」と説明されました。しかし、その後「制作・販売・宣伝に要する出版費用のうち、甲(筆者注:著作者)は本条別表のとおりの金額(以下、「出版委託金}と称する)を負担する」と曖昧な表現になり、近年は「制作・販売・宣伝の代金として甲は本条別表の通りの金額(以下、「出版委託金」と称する)を負担する」と変えました。かつては明らかに「共同出資」を謳っていたのに、近年はどうやら「共同出資」を取り下げたようです。

 しかも著者負担金の表現も変わりました。かつては「協力負担金」だったのに、今は「出版委託金」とか「代金」です。「文芸社の出版事業への出資金」という性格の費用なのに、なぜ「委託金」とか「代金」と表現するのでしょう。これでは、著者が「サービスの契約」だと勘違いしてしまいます。まあ、文芸社にとってはそう勘違いをしてもらった方が都合がいいのでしょう。

 私は共同出資を謳っていながら実際には共同出資にはなっていない文芸社の費用請求は不当であり、詐欺的だと主張してきました。それに答えられない文芸社は、ホームページで「共同出資」を明示しておきながら、契約書の費用負担の書き方を共同出資とは理解できないものに変えました。しかし、そうやって契約書を書き変えている理由については何も説明がありません。

 そして契約書を書き変えたために、ホームページに掲げた表と矛盾が生じてしまいました。ホームページの表では、印税タイプの場合、販売費用や倉庫使用料は文芸社持ちだったのですが、近年の契約書では販売費用は著者持ちです(ただし、倉庫使用料は著者負担とは書かれていませんので、文芸社負担と理解できますが・・・)。これは信じがたいことです。とにかく何の説明もないまま、1年以上ものあいだホームページの説明と異なる契約書を使っていたのですから、何といい加減な会社なのでしょう。

 おかしいのは、著者負担金の額が「制作費のみ」だった頃と、「制作・販売・宣伝費」とされる今とで、ほとんど変わらないということ。つまり、契約書の説明だけを変えたのでしょう。こんなおかしな話はありません。

 それにしても、「印税タイプ」と「売上還元タイプ」では著者に請求する費用はどう違うのでしょうか。ほとんど変わらないのであれば、誰がスズメの涙ほどの印税しか入らず、自著の取り寄せも有料の「印税タイプ」の契約をするというのでしょうか?
    


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Posted by 松田まゆみ at 18:49│Comments(1)共同出版・自費出版
この記事へのコメント
文芸社は昔出版した著者の本をどんどん絶版にしていっています。それが今の社の方針です。その理由は当然、素人の本は売れませんから倉庫代がかかるだけだからです。一応著者には契約書の条項に基づき、契約を解除するかどうかという手紙は前もって送っていますが、著者は出版契約書を捨ててしまっている人も多く、また絶版という言葉を使わずに言葉巧みな言い方で契約解除を勧めています。素人さんは出版に疎いので、ほとんど気づきません。また出版権は文芸社にありますから、かなり強引に契約解除させているケースもあります。
だから、これから文芸社で出版しようと思う人は、いつか絶版にされることを覚悟しておいた方がいいでしょう。
Posted by 内部 at 2010年11月11日 18:03
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