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2012年03月02日
水漏れ東郷ダム改修で農家は受益者負担を払うのか?
昨日の北海道新聞に「東郷ダム縮小 農家同意 改修費負担焦点に」という記事が掲載された。
東郷ダムはかんがい用のダムなのだが、着手してから40年にもなるのに漏水で使えないという欠陥ダムだ。以下の記事によると、漏水のために当初の事業費63億円が379億円に膨れ上がったが、今なお使えない。このために、2011年9月に会計検査院が事業評価を行うように求めていた。
検査院を検査せよ 東郷ダムの内情(BLOGS)
そこで北海道開発局が出してきたのが、貯水量を当初計画の427万トンから18万トンへと、何と96%も減らすという代替案だ。不足分は河川からの取水でまかなうという。96%も減らすのに、そのための改修費に46億円が必要だという。
当初計画の4%しか貯水できないダムなど、どれだけ意味があるのだろう。河川からの取水に頼るのなら、水たまり程度のダムが必要なのだろうか? 本当にかんがい用水が足りないのなら、そもそも農家はとっくの昔に離農しているのではなかろうか?
ところで、北海道新聞の記事は、縮小案に受益農家が同意したという趣旨だ。記事によると、「受益者農家の負担する維持管理費は、ダムの規模が縮小されたにもかかわらず年間950万円のまま変わらない」とある。この記事からは農家が実際に受益者負担(維持管理費としているが・・・)を支払うと読みとれるのだが、本当だろうか。
国営の土地改良事業の場合、国が事業費の80%、都道府県が15%、受益者が5%負担することになっている。北海道新聞によると、「東郷ダムの改修費用についてはこれまで国85%、道15%の負担割合だった。今後の改修費46億円をどうするかについては未定で、両者が今後協議するが、道は新たな負担に慎重な姿勢を示している」と書かれている。漏水で利用できない東郷ダムは、現時点では受益者負担が発生していない。このために国の負担を85%としているのだろう。利用が開始されれば5%の受益者負担を国に支払わねばならないのだ。
ところで、十勝地方の「美蔓地区国営かんがい排水事業」にしても「富秋地区国営かんがい排水事業」にしても、受益者負担は農家が負担せずに地元自治体が肩代わりする。農家が負担するのは自分の敷地内の配管やスプリンクラーなどの施設のみ。水が不要な農家は配管しなければお金はかからない。
東郷ダムの場合も、同じように受益者負担は農家が支払うのではなく地元の自治体が肩代わりするのだろう。北海道ですら負担金の支払いに躊躇しているのだ。40年も事業が滞り事業費がどんどん膨らんでいるのに、300戸もの農家が費用負担にすんなり同意するとはとても思えない。逆に言うと、農家の同意を取り付けるためには受益者負担を市町村が肩代わりするしかない。すべてが税金による事業だということだ。
いったい農家はほんとうにダムが必要だと思っているのだろうか? ダムができたら本当に水を使うのだろうか? 多くの農家が世代交代しているだろうし、「もう水は必要ない」という農家だってあるだろう。受益者負担を市町村が肩代わりすることで、そこがあやふやにされてしまうのだ。
それにしても貯水量を96%も減らし、さらに46億円かけるというのには呆れ果てる。ただただ「中止したくない」「負の遺産を残したくない」という執念でしかないように思う。
そもそもダムを造る以上、地質調査をしっかりと行い水漏れが起きないような場所かどうか見極めなければならないのだが、そういう基本的なところから杜撰だったとしか思えない。欠陥ダムは事業者の責任なのだ。こういうことに湯水のように税金が使われることに対し、国民はもっと怒るべきだろう。
東郷ダムはかんがい用のダムなのだが、着手してから40年にもなるのに漏水で使えないという欠陥ダムだ。以下の記事によると、漏水のために当初の事業費63億円が379億円に膨れ上がったが、今なお使えない。このために、2011年9月に会計検査院が事業評価を行うように求めていた。
検査院を検査せよ 東郷ダムの内情(BLOGS)
そこで北海道開発局が出してきたのが、貯水量を当初計画の427万トンから18万トンへと、何と96%も減らすという代替案だ。不足分は河川からの取水でまかなうという。96%も減らすのに、そのための改修費に46億円が必要だという。
当初計画の4%しか貯水できないダムなど、どれだけ意味があるのだろう。河川からの取水に頼るのなら、水たまり程度のダムが必要なのだろうか? 本当にかんがい用水が足りないのなら、そもそも農家はとっくの昔に離農しているのではなかろうか?
ところで、北海道新聞の記事は、縮小案に受益農家が同意したという趣旨だ。記事によると、「受益者農家の負担する維持管理費は、ダムの規模が縮小されたにもかかわらず年間950万円のまま変わらない」とある。この記事からは農家が実際に受益者負担(維持管理費としているが・・・)を支払うと読みとれるのだが、本当だろうか。
国営の土地改良事業の場合、国が事業費の80%、都道府県が15%、受益者が5%負担することになっている。北海道新聞によると、「東郷ダムの改修費用についてはこれまで国85%、道15%の負担割合だった。今後の改修費46億円をどうするかについては未定で、両者が今後協議するが、道は新たな負担に慎重な姿勢を示している」と書かれている。漏水で利用できない東郷ダムは、現時点では受益者負担が発生していない。このために国の負担を85%としているのだろう。利用が開始されれば5%の受益者負担を国に支払わねばならないのだ。
ところで、十勝地方の「美蔓地区国営かんがい排水事業」にしても「富秋地区国営かんがい排水事業」にしても、受益者負担は農家が負担せずに地元自治体が肩代わりする。農家が負担するのは自分の敷地内の配管やスプリンクラーなどの施設のみ。水が不要な農家は配管しなければお金はかからない。
東郷ダムの場合も、同じように受益者負担は農家が支払うのではなく地元の自治体が肩代わりするのだろう。北海道ですら負担金の支払いに躊躇しているのだ。40年も事業が滞り事業費がどんどん膨らんでいるのに、300戸もの農家が費用負担にすんなり同意するとはとても思えない。逆に言うと、農家の同意を取り付けるためには受益者負担を市町村が肩代わりするしかない。すべてが税金による事業だということだ。
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十勝川水系河川整備計画[変更](原案)への意見書
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居辺川の現状(その2)
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Posted by 松田まゆみ at 22:05│Comments(0)
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