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鬼蜘蛛の網の片隅から › 政治・社会 › 情報は誰のものか-重要部分が黒塗りになる行政文書(追記あり)

2013年12月25日

情報は誰のものか-重要部分が黒塗りになる行政文書(追記あり)

***原発反対・秘密保護法は廃止・共謀罪反対***

 情報公開制度ができてから、自然保護団体は開発事業などに関わる行政文書の開示請求をしばしば行ってきたが、たいていは文書の一部が黒塗りになっている。たとえば公共事業における環境アセスメントの報告書などを開示請求すると、絶滅危惧種やアドバイスをした専門家の名前などはまず黒塗りされている。

 絶滅危惧種に関しては保護に支障が生じるという理由のようだが、保護すべき動植物の情報を秘密にしたなら、事業者が適切な保護対策を講じているかを判断できない。アドバイザーの名前を非公開にする理由も理解できない。専門家として責任をもってアドバイスしているのなら、なぜ名前を隠してしまうのだろう。

 また、私は昨年、私の戸籍を不正に取得した行政書士の処分に関する公文書を東京都に開示請求した。ところが、もっとも重要な行政書士の証言に関する部分は黒塗りになっていた。ほかにも黒塗り部分は多数。黒塗りにした理由は記載されているのだが、記述が抽象的であり、なぜ黒塗りにしなければならないのかさっぱり分からない。

 行政文書の開示請求があった場合、非開示にするか否かの判断は条例に基づいて行うのだが、その判断基準は明確なものではなく、行政の担当者に委ねられている。たとえば、非開示の理由として「公にすることにより、行政書士の懲戒処分に関わる事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため」という理由で黒塗りになっている部分が多数あるのだが、このような抽象的な理由で非開示にできるのなら、行政が隠したいことがあれば何でも非開示にできてしまうのではなかろうか。また、公開で行われた行政書士への聴聞の記録まで不開示になっている。その理由は「公にすることにより、被聴聞者の権利利益を害する恐れがあるため」とある。公開で行われたものをなぜ非開示にしなければならないのだろう? 「権利利益」とは具体的にどういうことを指しているのだろう?

 行政文書の黒塗りに対し不服がある場合は、異議申立てができる。私は今年の2月下旬に異議申立てをしているが、未だに審査結果が来ていない。ただし、異議申立てをしたところで、開示されないことも多々ある。その場合は訴訟を起こすしかない。そこまでやる人は恐らく少数だろう。しかし、本人訴訟で全面勝訴した事例もある。新得町の芳賀耕一さんが起こした、サホロリゾートに関わる公文書の非開示の取り消しを求める裁判だ。以下参照。

情報公開訴訟一審判決(SAHORO.COM)

 この訴訟から分かるのは、条例の非開示事由に該当しない部分を行政が非開示にしてしまったという事実だ。情報公開制度の恣意的運用がなされているということであり、行政にとって都合の悪いことを意図的に非開示にすることがあり得るのだ。

 同じように、ジャーナリストの三宅勝久さんは、行政文書の非開示で裁判を起こしている。

本日13時から埼玉県庁で記者会見 埼玉県立小児医療センター移転に関連して近く提訴(ジャーナリスト三宅勝久公式毒舌ブログ)

★訂正「埼玉県立小児医療センター移転の墨塗り議事録を出せ」訴訟第1回弁論は12月25日11時(ジャーナリスト三宅勝久公式毒舌ブログ)

 三宅さんの裁判は、埼玉県立小児医療センターの移転に関することで情報公開をしたところ、重要な意思決定がなされたと思われる時期の会議録のたぐいがほぼすべて黒塗りになっていたというもの。ここでも行政に都合の悪い部分を非開示にしたのではないかという疑惑が浮上する。

 行政文書を開示しても黒塗りだらけというのが現状なのだが、特定秘密保護法が施行されたならさらに非開示が増えるだろう。というより、場合によっては開示請求をすること自体が罪に問われかねない。

 なお、埼玉県立小児医療センターの移転に関しては関係者が問題提起して活動している。以下のサイトを参照いただきたい。

埼玉県立小児医療センター存続を求める家族の会

さいたま黒塗りされた病院移転にモノ申す会のブログ

【12月27日追記】
 行政書士が私の戸籍を不正取得した件に関しては以下の記事をお読みいただきたい。

興信所を使って私のことを調べていた文芸社
行政書士が私の個人情報を不正に取得していたことが判明
告訴状を送った警察署の速やかなる対応
行政書士による個人情報取得事件の中間報告
警察官らの戸籍不正取得で司法書士らが逮捕、私の告訴は不起訴
統一教会も関わっていた司法書士による個人情報不正種痘事件
金坂滋行政書士に業務停止1か月の行政処分
戸籍と住民票の不正取得で逮捕された事例があった!
金坂滋行政書士の処分で公文書の重要部分を黒塗りにした東京都


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Posted by 松田まゆみ at 16:56│Comments(8)政治・社会
この記事へのコメント
>行政文書の開示請求

  結局は、TOPの市長や知事を、選挙で選別するしか
 方法は無いのか?
  裁判で勝った市民団体は、無いのか?
Posted by ひで at 2013年12月26日 21:58
ひでさん

どういう情報を黒塗りにするのかの裁量は、トップの市長や知事というより担当者にあるようです。トップがクリーンな人であることは重要ですが、トップだけの問題でもないような気がします。

また異議申し立てについて審議する機関は行政とまったく関わりのない第三者機関にすべきですが、委員をどのように選んでいるのか疑問があります。

なお、記事中で紹介した「SAHORO.COM」は、「サホロリゾート開発問題協議会」という市民団体のサイトですので、裁判で市民団体が勝った事例と言えると思います。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2013年12月26日 23:27
電話の通話で、寄付ができる「推薦すべき市民団体」が、
あれば教えてください。6千円弱無料通話できるので。
Posted by ひで at 2013年12月28日 23:02
ひでさん

どういう市民団体が信頼できるのかということについて、私はいまとても複雑な気持ちです。

昨年の都知事選に立候補した宇都宮健児弁護士が、次の都知事選でも立候補を表明しました。ところが昨年彼の選挙に協力した澤藤統一郎弁護士が選対執行部に関して内部告発と批判をはじめました。澤藤弁護士の主張だけを元に物事を判断するべきではないとは思いますが、澤藤弁護士の説明が事実であるなら、残念ながら宇都宮さんの選対は民主的に問題解決ができない組織であったと言わざるを得ません。とてもがっかりしました。

http://article9.jp/wordpress/

私は、市民運動の内部において問題が生じた場合は、話し合いによる民主的解決の努力が最大限なされなければならないと思っています。それができなければ、場合によっては今回のような内部告発というみっともない事態に発展しかねません。しかし、市民運動が民主的に行われているのかどうか、つまり民主的で健全な組織であるかどうかは、内部告発のようなことがない限り外部からは分からないのです。

とすると、どんな市民団体に寄付をするかといった判断は第三者が安易にできることではなく、個人個人の判断においてすべきことなのではないかと思うのです。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2013年12月29日 11:03
 詳しく、先のブログを読みました。
 政治の世界は、難しいですね。

特に理想を求める人にとっては
 許せない世界と、思うでしょうね。

 所で、関東付近に地震の目が出来ている可能性が
指摘され始めました。
「 http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4599551.html 」

 例のプロフィール作成元は、関東付近の地震は
起きないと表明していますがね。。。
 用心は、無料です。
 備蓄は、生活物資なら結局無料です。
 7日分の水と食料は、危険地帯に住む人の命の
 泉です。
Posted by ひで at 2013年12月31日 17:17
この年も押し詰まって参りました。
1年間、いろいろとお疲れさまでした。

私にとって2013年の印象深い出来事は、アベやんのやりたい放題を除けば、イノセ都知事のはなばなしい登場とあっけない退場でした。不快極まりない彼の言行に眉をひそめていた多くの人びとは、アッと言う間の退陣に、あるいは“天の配剤”を感じたかもしれません。しかし、このドタバタ劇の裏にどういう闇があったのかを思うと、単に喜んでばかりはいられないような気もします。

で、都知事選、となるわけですが、ご紹介くださった澤藤統一郎弁護士ブログの論調、書かれている事実関係が正しいとすれば、これはまさに正論であると評価すべきと思います。「いま問題にすると、敵を利するだけ。選挙に勝利してから、きちんと総括しましょう」などという意見が多数になりやすいのでしょうが、選挙に勝てば「もう不問に付すんじゃ」ということになってしまうでしょう。澤藤氏は勇気ある発言をした、と感じています。(ついでに言っちゃうと、宇都宮弁護士は弁護士としてはとても立派な人だと思いますが、なんとしても影が薄い。政治家には向いてない。今後、保守サイドが例によって名前の知れ渡ったのを担ぎ出すのに成功すれば、勝てないでしょう。)

長くなってすいませんが、結論! 鮮明に対立するふたつの考え方があって、自分が支持するサイドに不明朗な問題点を見出したとき、黙って見逃すのか、きちんと指摘して改善を求めるのか、実際問題としてはかなり厳しい選択になりますね。
ことしは、原発問題でも、このパターンの問題が見え隠れして、鬼蜘蛛ねえさんの問題提起が思い出されます。とても消耗されたことでしょう。しかし、発言する人がいるのはまことに有難いことです。誰も発言しなくなると、どちら側にせよ、ふぁっしょ的雰囲気が醸成されてくるでしょうね。

来るべき年が、うってかわって良い年であるよう祈念いたします。
Posted by クンちゃん at 2013年12月31日 17:45
ひでさん

あけましておめでとうございます。
澤藤さんの告発には賛否両論があると思いますが、私は彼の主張はまっとうなものだと評価しています。いろいろな方の意見を聞きたいところです。

関東付近で地震が活発化していることは私もとても懸念しています。今年は大きな地震が起きると予測している人も複数いるようですので、とりわけ気になります。

人口密集地では災害のときも救援物資がいつ届くかも分かりませんし、結局は自分の身は自分で守るしかありません。一人一人が水や食料の備えと防災を心がけるしかないでしょうね。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2014年01月01日 16:20
クンちゃんさん

あけましておめでとうございます。
60年近く生きてきた中で、昨年ほど気持ちが沈んでいた年もあまり思い当たりません。安倍政権の暴走に怒りがこみ上げ、各地を襲った災害に心が痛む一年でした。

澤藤弁護士のブログを毎日読んでいますが、残念というほかありません。選対の中心メンバーの中には私も知っている人がいますが、知り合いという理由で擁護する気にはなりません。

澤藤弁護士のブログを読み、やはり人は弱いものだとつくづく感じています。弱いというのは、「この程度のことは問題ないだろう」「バレなければ気にするようなことではない」「仲間を批判するのは間違っている」という態度をとり、話し合いで問題解決をしようとしない人たちが宇都宮さんの選対にあまりに多いということです。何よりも清廉潔白で民主的であるべきなのに、そうした意識が欠落してしまうのは「身内はかばいたい」「争いごとは避けたい」と、面倒なことを避けてしまう人の弱さにあるのではないでしょうか。

宇都宮弁護士については柔和でいかにも弱者の味方という印象を持っていましたし、その庶民的な印象自体は今も変わっていません。しかし、やはり彼は市民運動は素人だったのではないかと思わずにいられません。長年市民運動をやっていると内部での紛争はしばしばあります。そういう時にもっとも大事なのは、話し合いで内部紛争をきちんと解決する姿勢です。それをきちんとやっていれば普通は内部告発には至りません。宇都宮弁護士は市民運動体内部での諍いなどの経験がないがために、内部からの指摘や批判を甘く見ていたように感じます。弁護士としては優れていても、政治家には向いていないのかも知れませんね。クンちゃんのご指摘のとおり、保守サイドが名前の知れた者を担ぎ出せば当選は難しいと思います。

澤藤弁護士も、相当迷ったうえで覚悟を決めての告発だったと思います。彼自身もおそらく相当のストレスを抱えて行動でしょう。私は率直に彼の倫理観や勇気を評価したいと思います。私も木下氏批判の件ではたしかにストレスになりましたが、何よりも残念に感じたのは「同じ目的で活動している人を批判すべきではない」という反原発派の人たちが相当数いたということです。こういう考え方には到底同調できません。仲間擁護が先に立って不正や不適切なことに蓋をしてしまうのでは、結局は原子力ムラと同じです。話し合いできちんと問題解決をしない組織はやがて腐っていくのではないでしょうか。ですので、今の反原発の人たちの中にも、私は危ういものを感じざるを得ないのです。

今年も安倍首相の暴走は続くでしょう。ブログでささやかな抵抗を続けたいと思います。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2014年01月01日 16:32
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